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終末後記  作者: Takahiro
2-4_第二次ロッキー山脈攻防戦
397/720

国体について

この世界豆知識です。

国体とは即ち国家の根本的な形質である。神武天皇の御即位より、日本の国体は、天皇を君主として戴く君主制国家であった。


これは、天皇の権限に依る概念ではない。歴史上、日本国には何度も政治の実権を握る組織が誕生してきた。幕府というのはその筆頭である。だが、如何なる時代においても、天皇は常に君主であった。


故に、政体は変われど、国体は無窮である。


だが、ある意味においてこれが揺るがせれた事態が、近世、昭和時代に起こった。即ち、天皇機関説と天皇主権説の対立である。


天皇機関説の問題は、天皇が国家に従属すると見なされた点にある。その権力いかんよりも、天皇が絶対的な権力を持たないことが問題とされた。


もっとも、本来ならば、この議論は帝国のより一層の発展に寄与する、有益なものとなる筈だった。当時の昭和天皇は天皇機関説を当然のことと受け入れていたと言うし、それが天皇の意思であるならば、天皇機関説こそ、寧ろ国体を顕現する理論であるのだ。


だが、何が悪かったかと言えば、この論争が政争に利用されたことにある。神聖にして不可侵の国体を俗事の政争に利用するとは言語道断。特に、当時の右翼、軍部は国体の本義を見誤っていたと言える。


結局、この問題に決着がつくことはなかった。大東亜戦争が終わり、世界が平和になった頃には、軍部の影響力も低下し、天皇機関説もまた盛り上がりを見せたからだ。


21世紀、22世紀になっても、国体論争は止まなかった。


だが、それにも終止符を打つ時がやって来た。2172年の大改憲の際、ついに天皇機関説が明記されたのだ。


それを根拠付ける条文がこちら、「大日本帝国は、万世一系にして帝国の最高機関たる天皇が、これを統治する」である。また、代わりに、天皇に与えられる政治的権限は増大され、右翼との妥協が図られた。


よって、現代の天皇は、国家の一機関でありながら絶対君主の如き強大な権力を振るう存在である。


もっとも、天皇が国家機関とされたからといって、それは忠君愛国の精神を汚すものでは決してない。一部の極左が謳う「国民主権」「平和主義」などは徹底的に弾圧されるべきものである。


臣民は天皇に忠誠を誓い、天皇は臣民の康寧を図る。その関係が破壊されることはない。


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