ある男の記憶Ⅲ
サブストーリーです。
東京近郊に集まった人々は、即席の防壁で周囲を囲い、屍人の攻撃を退けていた。
大和は人々の希望として、幾多の活躍を果たした。
ある日、男は従者とともに、屍人が徘徊する東京の廃墟に赴いていた。
彼らは、静かに屍人の間を縫って進んだ。銃を使うのを最小限にすれば、屍人は襲ってはこなかった。
「あなたが、石井か?」
男は、従者を外に残し、ビルの廃墟の中で待ち受けていた者に話しかけた。
「そうだ」
石井と呼ばれた男は答えた。
「率直に問おう。屍人を皆殺しにする方法は?」
「あるには、ある」
男は、彼に問い詰める。男は、どうしてもその方法が知りたかったのだ。
「教えてくれ」
「だが、君も知っているだろう?まだ生きているものがいると」
「構わない」
「まあいい。教えてやろう。そして、その方法を授けよう。使うか、使わないかは、君次第だ」
そして、石井は、男にその方法を教えた。
「わかった。感謝しよう。さようなら」
男が石井のもとを去ろうとしたとき、石井は男を呼び止めた。
「待て」
「何だ?」
「これを持っていけ」
そう言うと、石井は男に小さなデバイスを差し出した。
「一度、この場所に行くといい。その後に、やるかどうか、決めなさい」
「あなたがそう言うのならば、そうしよう」
男は、その場を去っていった。