ある革命家の記憶Ⅱ
サブストーリーです。
少年の性質は実に我の強いものがあった。自らの考えに恃み、彼が周囲の戯言に惑わされることはなかった。
彼はこの国には変革が必要だと感じていた。その対象は日本人の思想であった。
端的に言えば、彼は明治維新以降西洋に惑わされた日本人の意識を矯正しようと思ったのである。その行き着く先は絶対君主制への回帰である。
少なくとも明治から大正にかけて、物質文明において日本は列強と比べても一段劣る存在であった。しかし、あくまでそれは物質文明に限るもの。精神文明においては、東洋道徳の方が優れていた。
それにも関わらず、日本人は自らの工業力の貧弱さを精神の劣等さに由来すると考え、西洋の思想を甘受した。だがそれは間違いであったと、少年は豪語する。
西洋の民主主義、自由主義、などといった思想が遅れているのだ。事実、古代の共和政ローマも帝政に移行し、自ら民主主義を捨て、更なる強勢を誇ったではないか。当時の西洋人の思想は、2000年も遅れていたのである。
西洋は、22世紀の今、急速に君主制を復活させつつある。だが、日本は何故か自由と民主主義を頑なに守っている。今や、日本こそが、世界で最も遅れた国になろうとしているのだ。
そんなことは許されない。
人々を内面から革命しなければならない。改めて忠君愛国を徹底し、教育勅語に実直に従い、大事の際には国民皆兵の覚悟で自らの命をも天皇陛下に差し出すと、皆が誓わねばならない。
日米の戦争は良い機会だ。いずれ日本人は強固な自信を得るだろう。
だが、少年には気がかりが一つあった。あのよく分からない女が言っていた、世界の終わりとやらである。
もしそれが本当なら、彼は、より過激に暴力的に革命を推し進めるだろう。それこそ、歴史を全て抹殺する程に。
彼に与えられた力は、この世でたったの3人しか持たない力、屍人を行使する力であった。
中二病かんでてきた。




