ある怪物の記憶
サブストーリーです。
彼は産まれてから愛されたことは一度もなかった。何故なら彼は「化け物」であったからである。
彼には目が一つしかなかった。顔の中央に一つだけある目と、額から突き出した鼻、単眼症というものである。胎児の時、脳が未分化の塊のまま成長し、それが重度になり、目を左右に分ける働きが為されなかった結果、発生する病気である。
単眼症を持った者は、通常、すぐに死ぬ。しかし彼は生きた。何年も生きた。だが、人々は、家族すらも、彼を愛さなかった。幾ら大きくなろとも、会話すらままならない彼は、化け物でしかなかったのだ。
だが、彼は、自らの不幸すら認識出来なかった。ただ息を吸っていた。
さて、彼が齢20に迫ろうとしていた時、人類の文明が崩壊した。屍人か溢れ、彼を愛さなかった人は皆死んだ。しかし彼は、何かの悪戯か、屍人に喰われることはなかった。
そして、彼の見た目はますます恐ろしくなってしまった。目が一つしかない顔は、あちこちが腐っているように見えた。他の生存者すら、彼を排斥した。
だがある日、奇跡が起こった。誰かが彼の脳を半分吹き飛ばしたのだ。普通の人であっても、脳を半分失っても生きることが出来る。ましてや彼に出来ない訳がない。
そして彼の脳は再生した。いや、それは再生ではなく進化であった。その時彼は初めて自らを知った。そして己の不幸を呪った。
残る半分の脳も切り落とし、完全な知性を手に入れた彼は、しかし、ただ呆然と生きていた。困っていた少女を救っても、それは変わらなかった。
彼は、せめて自らの脳を何かに活かそうと、それがせめてもの慰めであると思った。
本編がまだ1日くらいしか進んでないんで、サブストーリーも糞もないんですよね。なので、回想とかになりがちです。




