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終末後記  作者: Takahiro
1-2_ロッキー山脈攻防戦
32/720

帝都にて

投稿日を間違えて設定してました。遅れました。すみません。

崩壊暦214年1月2日13:15


東郷大将が御前会議に呼ばれている間、他の大和の乗組員は、つかの間の帝都での休暇を楽しんでいた。


「大佐殿、帝都は今日も栄えていますね」


「そうだな、東條中佐」


東條中佐と近衛大佐は、現在ともに行動中である。摩天楼がそびえ立つ帝都の中心部。


店の軒先には、日章旗、旭日旗が掲げられ、人々は戦争の話題でもちきりだ。


特に、甲号作戦の成功は、人々を沸き立たせていた。


「おっ、これは軍人さんでしょうか?」


呉服屋の主人と思しき男が、声をかけてくる。


「ええ、そうですよ」


「おお、これはこれは。もしかして、さっき空港に来た、戦艦大和の人ですか?」


「いやはや、実はそうなのですよ。私の横にいるのが東條中佐、私は近衛大佐と申します」


近衛大佐は、軽く自己紹介をする。


「大佐殿に中佐殿でありますか!これは、すごい人と会った。」


「いえいえ、我々の上には妙な上官が、沢山いますよ。」


三人は、笑いあった。


「お二方、この度のご勝利、誠におめでとうございます。今後も、米帝の奴らをとっちめて下さいね」


「もちろんです。それが軍人の仕事ですから。では、私どもは失礼しますね」


「引き留めてすみませんね」


「いえいえ、私どもは暇なだけですから」


二人はその場を去った。


「大佐殿、帝都は戦争を歓迎する人が多いのですね」


「まあ、ここら辺は多いだろうな」


実際、帝都の中心部では、厭戦の声は聞かれない。


「では、外縁部ではそうでもないと?」


「そうだ」


いつもどこか陽気な近衛大佐にしては珍しく、その声は少し暗かった。


「別段、戦争に反対する者が多いのではないんだ。ただ、ここよりは活気がない」


「そうだ、東條中佐。少し外に行ってみようじゃないか」


「そうですね」


二人は、公用車で帝都を駆ける。一時間も車を走らせると、中心部の喧騒はすっかり消え、閑静な住宅地に入った。


人は普通に行き交っているが、戦争の話題はあまり口にしていないようだ。


そこで東條中佐は車を停めた。 


「静かですね」


「そうだな。これが、帝国の普通と言ったところだ」


二人は、その場所を散策することにした。


もっとも、彼らは軍服に身を包んでいる。周囲からの目は、それなりに気になる。


そこで、軍人は空き地で遊ぶ子供達を見つける。遊んでいるのは、戦争ごっこのようだ。


どこから調達したのか、やけに本物らしい軍服もどきを着て、木の枝でできた軍刀で戦っている。


「やれやれ、帝国軍が同士討ちをしているな」


「まったくです」


「おっ、あれは、小さな東郷大将と、鈴木大将かな?」


「あの格好は、そうかもしれませんね」


子供達を眺めていると、彼らは二人を見つけ、きっちりと敬礼するとともに、声をかけてくる。


「兵隊さん!アメリカをけちらしてください!がんばってください!」


「おお!勿論だとも。アメリカなんぞ、私にかかれば一瞬で滅ぼしてやるぞ」


その時、子供達のいづれかの親とおぼしき女性がやってきた。


「こら。兵隊さんに迷惑かけないの。謝りなさい」


「いえいえ、我々は暇をもて余していただけですから」


「そうですか。ならいいのですが」


「では、私達は失礼しますね」


東條は、別れを告げた。


女性は、少し、安堵の表情を見せた。


二人は、その場を去っていく。この場所では、彼らはあまり歓迎されていないようだ。


「やはり、戦争は、利益をもたらさなければ歓迎されないんだな」


「そうかも、しれませんね」


少し見物をしたあと、東條中佐は、帝都中心部に車を走らせる。


東郷大将がすぐに解放されたため、その翌日には、再び太平洋を横断することになることも知らずに。


「嗚呼、休暇なんてなかったんだ」


近衛大佐は嘆いた。

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