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終末後記  作者: Takahiro
2-1_太平洋新秩序の形成
250/720

ベルリンにて

サブストーリーです。

相変わらず雲が晴れないベルリン、その大統領官邸にて。


アデナウアー大統領以下の大臣らは、今後の政策を話し合っていた。まず、老獪なアデナウアー大統領が言った。


「さて、我が合衆国を囲む情勢は、不穏に過ぎる。そう思わないかな?諸君」


「ええ、まったくです」「まったくですよ」「そうですね」「その通りです」


皆人こぞってアデナウアー大統領に同意した。


ソビエト共和国は欧州への圧力を高めている。また、アフリカ内戦もアラブ連合とのせめぎあいだ。だが、それよりも重大な問題がある。それは、国内の反政府勢力である。


「あの()()どもは、どうなっているんだ?」


「現在、ソビエト共和国に潜伏していると伝わっています」


「そうか。それはまた厄介だな」


ソビエト共和国そのものが問題なのではなく、その中にいる、国家社会主義ヨーロッパ労働者党の残党が問題なのである。ヒトラー大総統の党を模したこの党は、問題なことに、国内での支持者が多い。


かつてドイツ帝国がロシア帝国にレーニンを送り込んだように、ヘス総裁がヨーロッパに送り込まれてくる可能性は否定できない。と言うか、その公算の方が大きい。


アフリカ内戦、第二次太平洋戦争により勢力均衡政策は崩壊し、世界は再び戦乱の時代へと入った。戦乱の時代に於いては、相手を謀略で潰すのもまた常套手段である。


「引き続き、国内への監視を強めるのと、アフリカ内戦の早期終結を目指すように」


「はい、大統領閣下」


正直に言って、取れる手段はあまりない。この話題については、いつも通りの警句に終わった。


「ところで、『ゼカリヤ』の準備は進んでいるのかな?」


アデナウアー大統領は尋ねた。


「現在、完成度は85%です」


「なるほど、良いな。早いうちに完成させろ」


「勿論です」


ゼカリヤは、欧州合衆国が文明崩壊後に設計した兵器である。文明崩壊の前、グレートブリテン戦争などでは、全く見向きもされなかったが、この世界では高い需要がある。


「ロンドン艦隊も、常日頃より戦争への準備をさせるように」


「はい。閣下」


ロンドンはグレートブリテン島の南端の都市だ。そして、欧州合衆国、ひいては全世界でも比類なき要塞都市でもある。どうしてこんな場所に要塞があるのか、その所以は推して量るべし。


「では、次は財政の話だが……」


会議は続く。


ゼカリヤって名前を辿れば、とある兵器にたどり着きますね。

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