サンフランシスコ最後の抵抗Ⅱ
第一艦隊が攻撃にひたすら耐えている中、ついに、大和がその均衡を崩した。
「敵ミサイル発射確認、迎撃します」
敵艦隊から無数の対艦ミサイルが放たれた。
チャールズ元帥の最後の一手である。米艦隊が発射可能な限りのミサイルが、一斉に第一艦隊を襲う。
しかし、大和が計算し尽くした迎撃は、ミサイルを撃ち落としていく。
炸裂弾は炎の壁を作り、また、対空ミサイルは、精確に対艦ミサイルを撃ち落としていく。
第一艦隊にたどり着いたミサイルは、僅かに二発。問題はない。
そして、東郷大将は更なる追い討ちをかける。
「主砲斉射!敵を突き崩せ!」
炸裂弾を撃ち終えた主砲から、一斉に砲弾が放たれ、米艦隊に撃ち込まれていく。
至近距離の砲撃戦が展開され、双方が砲弾を浴びせる。だが、日本艦隊は米艦隊を圧倒し、次々と敵艦を沈めていく。
第一艦隊の砲弾は、敵艦に当たるや、次々と沈めていく。一発で沈まずとも、二、三発が当たればもう耐えきれない。
一方、米艦隊の砲撃は、第一艦隊の艦船に弾かれていく。弾かれずとも、その艦はすかさず撃ち返してくる。
「霧島、榛名被弾!」
「まだだ!撃て!撃て!ここが最後の正念場だ!」
東郷大将は、檄を飛ばす。
煙を上げながらも、第一艦隊は一切手を緩めず、砲火を集中していく。
「テネシー、撃沈!」
次々と米艦隊は墜ちていく。
双方撃ち合うこと、およそ15分。敵味方ともに、白煙をあげている。しかし、沈んだ艦は、米艦隊が圧倒的に多かった。
「敵が、撤退していきます!」
やがて、頼みの綱のミサイルを撃ち落とされた米艦隊は、潰走していった。
同時に、上空の航空艦隊も撤退していく。
第一艦隊は、米艦隊の作戦に耐えきり、勝利をもぎ取ったのだ。
「諸君、勝利だ!」
ちょうど昇ってきた朝陽の中、東郷大将は声高に宣言した。
第一艦隊の被害も甚大だが、今回は勝利したといっていいだろう。
何より、空域を制圧すれば、地上に墜ちた艦は、完全に破壊されていない限り、回収して修理もできる。屍人が襲っても、艦船の装甲を破ることなどできない。
「閣下、第二艦隊の伊藤少将より、バンクーバー攻略の知らせが届きました!」
「おお!」
艦内は歓声に満たされる。北方も片付いたようだ。
これが、サンフランシスコ防衛艦隊最後の抵抗であった。
そして、サンフランシスコは、日本軍に占領されることになるだろう。
感嘆符が多すぎる。