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終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
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ホワイトハウスにてⅨ

サブストーリーです。

ホワイトハウスは、今や権威の象徴ではなくなった。


チャールズ元帥の反乱軍は、その規模を拡大させ、政府につく艦隊はどんどん減っていった。


そして、政権を掛けた最終決戦も、政府が敗北しつつある。素人が見ても、参謀総長が見ても、勝ち目がないのは明らかだった。


そんな中、恐慌に襲われるホワイトハウスでは、恐らく最後になるであろう閣議が開かれていた。


「さて、参謀総長君、勝ち目はあるかね?」


ルーズベルト大統領は、狂っている程に陽気に問い掛けた。


「そ、それは……」


対して、まともな参謀総長は、答えあぐねていた。軍人として、負けますとも言えず、かといって勝ち目なども見えない。だが、ルーズベルト大統領は、狂った笑顔で問い掛けた。


「Yesかね?Noかね?」


よく見れば、その目は全く笑っていなかった。


「No、です、大統領閣下」


堪えきれず、参謀総長は応えた。だが、驚くこともない。誰しもが、負けることなど知っているのだ。恐らく、ルーズベルト大統領も知っていただろう。


「そうかそうか。諸君、そろそろホワイトハウスも落ちるそうなのだが、どうするかね?」


ルーズベルト大統領は、辺りの官僚達を見渡した。だが、ルーズベルト大統領に見つめられながらも、誰も答えられなかった。


その時、ある大臣が、勇気を振り絞り、弱々しい声で応えた。


「降伏、ですか?」


「ほう、降伏か。そうだな。降伏しようか?」


「そ、そうですね。それが良いのでは」


ルーズベルト大統領は、突然、素直になりだした。何事かと、大臣らは彼を凝視した。


「ただし、諸君だけだがな」


「は?では、閣下はどうするのですか?」


「私は逃げるさ。アメリカなど、どうでもいいからな。諸君は、暫く時間稼ぎでも、しといてくれたまえ」


「我々も逃げますよ。閣下だけではなく」


当然ながら、大臣らも逃げたいのだ。だが、ルーズベルト大統領は、それを許さなかった。


「ダメだ。諸君らはここにいたまえ」


「何故ですか?我々も逃げれば……」


「黙ってろ」


ルーズベルト大統領は、張り付けていた笑顔を殴り捨て、凍てついた声で大臣を止めた。大臣は、何も喋れなくなった。


「そう、それと……」


そう言うと、ルーズベルト大統領は指を鳴らした。数秒の間をおいて、数十の兵士が乱入してきた。そして、大臣らに銃を突きつけたのだ。


「閣下!これは、どういうことですか!?」


「もし、喋れば、彼らが諸君を殺すということだよ。わかったかね?」


大臣らは、無言で頷いた。


「では、さらばだ、諸君」


ルーズベルト大統領は、清々しい挨拶をすると、ホワイトハウスを出ていった。


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