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終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
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ハワイ基地攻撃戦

4時間後。やがて、帝国軍と日本軍は、交戦距離に入った。


「対艦ミサイル斉射!」


まずは、様子見兼牽制の対艦ミサイル攻撃である。連合艦隊(もはや東郷大将らは帝国軍ではないのだが)からしても、久しぶりの艦隊戦だ。


全ての艦から、無数の対艦ミサイルが放たれる。特に、今回に関しては、倍する以上の艦隊からの攻撃である。ミサイルが放つ光条は、敵艦隊を呑み込まん程だ。


「着弾多数。およそ、30」


当然ながら、それ程のミサイルが押し寄せれば、敵に迎撃出来るはずはない。敵も全力をもって迎撃に努めていたが、それも無駄であった。敵艦隊の前面には、多数のミサイルが激突し、多くの艦を燃え上がらせた。


「巡洋艦2隻、撃沈しました!」


「結構!」


その報告に、艦内に歓声が沸き起こった。いきなりの大戦果である。敵の巡洋艦は、ゆっくりと落ちていった。


「敵対艦ミサイル、来ます!」


「全艦、迎撃せよ」


今度は敵から対艦ミサイルが飛んできた。しかし、それも疎らである。連合艦隊の対空砲、対空ミサイルは、全てを撃ち落とした。


被害はまったくない。


「やはり、戦力は圧倒的ですね」


東條中佐は言う。


「そうだな。艦隊は恐るるに足らず。後は、ハワイ基地か」


「はい。今のところ、何の動きもないですね」


ハワイ基地からは、一発のミサイルも飛んできてはいない。それもそれで不気味だ。ハワイ基地には、確かに、多数のミサイルランチャーが設置されている筈だ。


「高射砲の射程外から、艦砲射撃を仕掛ける。全艦、前進せよ」


ハワイ基地には、最新の天羽々斬高射砲なども設置してある。だが、それとて、高度を生かせば大した脅威ではない。こちらの主砲の射程ギリギリから砲撃を行えば、殆ど無力化出来るのだ。


艦隊が前進する間も、敵からの攻撃は続いた。しかし、全くと言っていい程、被害はなかった。また、敵艦隊と砲戦を交えるまでは、まだまだ距離がある。適当な反撃を行いつつ、ハワイ島の中心へと、艦隊は進む。


「全艦、撃ち方始め!」


そして、戦艦の主砲が動き出した。砲撃の爆音は、重く、遥か下の水面すら揺らす程である。


砲弾は、動かない基地に容赦なく降り注ぐ。50cm超えの砲弾が当たれば、地上施設はひとたまりもない。対空砲は、次々と爆散していく。砲弾やミサイルが誘爆しているのだ。


一通りの砲撃を終えれば、ハワイ基地の対空区画は火の海となっていた。吹き飛んだ鉄屑が、辺りに散乱している。


「終わり、ましたね」


「ああ。ハワイ基地は壊滅、なのか」


遂に、ハワイ基地は何の役割を果たすことなく、燃やし尽くされた。こうなれば、ただの飛行場である。


「閣下、敵艦隊が西に進み始めました」


「しばらく動きを見ろ」


西とは帝国本土がある側である。敵艦隊の行動は、撤退なのか、それとも何らかの作戦なのか、まだわからない。


「敵、ハワイ島空域より離脱。なおも西向きに進んでいます」


もはや、ハワイ島を射程に収めすらしない距離まで、敵は離れた。ミサイルも効かない以上、ハワイ島を放棄したも同然の行為だ。


「これは、私は、本当に逃げる気だと思いますが」


「そうかもな、中佐。結局、何がしたかったんだが」


その後も、敵艦隊が戻ることは一切なかった。やがて敵は、遥かレーダーの探索圏外まで去ったら。ひたすら警戒し続けたら連合艦隊の努力は、無意味だった。


「全艦に告ぐ!勝利だ!敵は撤退した!」


だが、艦内の歓声もあまり大きなものではない。勝利したと言われても、序盤のミサイル戦以外には戦ってすらいない。無抵抗なハワイ基地を滅多うちにしただけだ。


煮え切らなく思い出は、連合艦隊のほぼ全員にあっただろう。勝ったと言われても、実感もないのだ。それは、第一次世界大戦で負けを宣告されたドイツ帝国のようであった。


「終わりましたね」


「ああ。勝ったな」


東郷大将も、勝った気がしないでいた。しかし、ハワイ基地を奪ったという事実は変わらない。


「全艦、ハワイ基地に着陸せよ。また、ハワイ基地の残存物資や、その他の被害を調べよ」


平時では、ハワイ基地には、莫大な燃料弾薬が保管されている。今は恐らく持ち去られていると思われるが、あったら使いたいものだ。また、砲撃の被害も調べておく必要がある。当面は、ここに駐留することになるからだ。


やがて、大和もハワイ基地に降り立った。サンフランシスコへと飛び立った地に、再び戻ってきたのだ。





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