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終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
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独立宣言

調子に乗って2話投稿した後半です。何故かと言うと、これの1つ前が短か過ぎたからですね。

あと、調子乗って挿し絵入れまくりました。

別室のドアを開けると、その先には、数百の記者が詰めかけていた。その前には、立派な赤い舞台があり、そこにはマイクが2つ。


そして、大将と元帥の姿を見ると、一斉にカメラのシャッター音が鳴り響いた。その中を、二人は一切動じずに進む。


さて、舞台の後ろには、幕で隠された何かがある。マスコミの興味も、そこに何があるかにあるだろう。


二人は、マイクの前に立った。


一通りマスコミの勢いが衰えるまで、二人は待つ。暫くすると、シャッター音のやかましさは、少しだけマシになってきた。


そろそろ頃合いだと、チャールズ元帥が目で合図を送る。


数瞬の間を開け、幕が降りた。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


片方は見慣れたアメリカ連邦国旗である。アメリカ合衆国の国旗に、カナダ、メキシコの国旗を組み合わせた意匠だ。因みに、左下の欠けた星は、ハワイ州の分だ。


だが、もう片方は見慣れないものである。いや、誰も見たこともない旗であった。日の丸に似ているが、追加で数本の線が入っている。


マスコミの動揺を横目に、東郷大将は、一度咳払いをすると、おもむろに演説を始めた。


「私は、大日本帝国陸軍大将の、東郷五十六であります。この度、私は、ある重大なことを宣言するため、この会を開きました。」


そして、一呼吸置くと、東郷大将は宣言した。


「ただいま、我が軍は、帝国政府からの離反を決定致しました」


マスコミを、激しい動揺が襲った。ただ記録するのが仕事の彼らも、本当に衝撃を受けたようである。


「我が軍は、秘密裏の内に、帝国占領地を占拠しました。今や、アメリカ連邦北部は、我が軍の支配下にあります。

そして、私はここに、新たな独立国家の誕生を宣言致します」


マスコミの意識が、ただ東郷大将一点に集まる。


「新たに誕生する国家の名は、『日本国』であります。そして、私の後ろにあるこの旗こそ、我が日本国の国旗です」


日本国。それが、東郷大将の独立国家の名である。そして、その国旗は、大日本帝国の日の丸とは異なる、新たな国旗であるのだ。


「日本国は、この北アメリカ大陸を、アメリカ連邦とともに分割する主体であります。そして、日本国の国家目標は、全世界の恒久平和の守護者となることです」


演説は、マスコミを無視しながら進む。


「日本国においては、当然、全てあらゆる差別はなく、混合経済体制のもと、アメリカ人、日本人問わず、全ての国民の平等を図ります。そして、日本国は、太平洋新秩序の構築を当面の目標とし、いずれは全世界に平和の風を吹かせるものであります」


日本国という名ではあるが、国民の殆どはアメリカ人だ。その統治は、極めて平和的に行われる。それが、東郷大将の人身掌握術である。


「さて、私がこの宣言をした所以は、ひとえに、大日本帝国の横暴故であります。そもそも……」


東郷大将は、サンフランシスコ爆撃や、ジャカルタ核攻撃の真相を打ち明けた。それが、独立宣言を出した所以であると。


「最後に、私はこれより、大日本帝国の将官ではなくなります。そして、私の肩書きは、日本国臨時大統領となります」


これが、今日からの東郷大将である。東郷大将は、日本国の元首となる。ただし、あくまで臨時である。しかるべき時には、文民から選ばれた大統領が、この国を統治するだろう。


そして、最後に挨拶をすると、次は、チャールズ元帥の番である。


「私は、アメリカ連邦陸軍元帥、ウィンストン・チャールズです。皆さんも、名前くらいは聞いたことがあるでしょう。そして、私はここに、既にご存知かと思いますが、連邦政府へのクーデターを起こすと、宣言します」


実際、クーデターの発生は、アメリカ連邦市民の殆どの知るところである。しかし、公的に宣言するのは、これが初めてだ。


「私と軍は、ともに、現在のアメリカ連邦政府を承認せず、新たな連邦政府を樹立し、これを正当な政府と見なします。では、まず、この経緯をお話しましょう」


チャールズ元帥が語ることもまた、連邦政府の横暴である。連邦政府は、市民の命をゴミ同然に考え、国家の利益の為、国民を殺したと、彼は非難した。


同時に、各地の米軍への支持も呼び掛けた。


「アメリカ建国以来の自由、平等の精神の元、この政府の承認を求めます」


一通り、記者達の質問に答えると、会見は終了した。


さて、北アメリカ大陸は、かつてのユーゴスラビア並みの混乱を見た。


大日本帝国占領地から日本国が独立し、アメリカ連邦はふたつに分裂した。かくして、4つの勢力が、それぞれの生存をかけた争いを展開することなった。


挿絵(By みてみん)


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