表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
194/720

東郷-チャールズ会談Ⅱ

本日は、2話一気に更新します。

調子乗りました。

だが、そんな緊張は、突然壊れる。


「元帥閣下、このような腹の探り合いは、要らないでしょう。私達は軍人であり、政治屋のようなことをする必要は、ありません」


東郷大将は、突然、呆れ果てたように言った。その様子は、常連客が店主に語るようである。やはり、老獪な将軍だ。ビクビクとしているようには全く見えない。


「そ、そうですね。そうだ、私達は味方であったはず」


「はい、閣下。私達の利害は、計画を守る限り、衝突しません。わざわざ、こんなところで時間を無駄にする必要はありません」


軍人は、このような無駄を嫌う。彼らは、体面しか気にしない政治屋とは違うのである。東郷大将は、より現実的で事務的な話を望む。


「では、お互い、隠し事はなしと」


「ええ。お願いします」


東郷大将が頼み込む、というポーズだが、会談のペースは、完全に東郷大将のものになった。一瞬にして、チャールズ元帥の気は乱されたのだ。


その後は、早かった。二人は互いに、現在の状況と今後の計画を打ち明けた。


「クーデターは、内戦をも伴いかねないということで、宜しいですかな?」


東郷大将は問う。


「はい。残念ながら、軍の全てが裏切った訳ではありませんでした。我々は、ワシントンに攻め込む必要があります」


チャールズ元帥は、有り体に言えば失敗している、クーデター計画の現状を説明した。


「ですから、閣下の独立国家をもって、時間稼ぎをして頂きたい」


「はい。最初から、そのつもりですよ」


東郷大将は、最初から、こうなることを読んでいた。それは、アメリカ連邦政府の統治の華麗さ故である。確かに悪逆非道な政府ではあるが、部下の扱いは上手い。特権階級である軍では、当然、政府につく者も多いだろう。


「ありがとうございます。そして、我々は、閣下が北部を留守にする間、北部の盾となりましょう」


「はい。お願いします」


一方、東郷大将も、全ての占領地を掌握してはいない。それを制圧し、この大陸における地保を固めるまで、チャールズ元帥の軍団が、空白となる北部を守るのだ。


まさに、相互互恵の関係である。


そして、更に議論は30分程続いた。その多くは、戦後秩序についてである。だが、基本的には現占領地を維持という方針は決まっている為、大した議論はなかった。


アメリカ連邦の生産基盤は、ほぼ東海岸に集中している。チャールズ元帥からすると、西部は手放しても良いものだった。寧ろ、東郷大将の統治下であれば、民衆も幸福だろう。


「では、これを決定とします」


「はい、元帥閣下」


議論は決着した。結ばれたのは、北アメリカ分割協定である。


「閣下、では、これを発表します。宜しいですか?」


「はい。これより、記者会見を開かせます」


実は、アイオワには、極秘で多くの記者を呼んである。特ダネをちらつかせれば、マスコミも秘密は守る。ある意味、御し易い者どもだ。


既に、会見の席は用意されている。チャールズ元帥と東郷大将は、その部屋へと歩き始めた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ