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終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
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大化作戦始動

スピーチするだけの回です。

ここは大和の艦橋である。


東郷大将ら、上級将校は、ここで飛鳥作戦を見守っているのだ。地上部隊は、無闇に通信をする訳にはいかない。よって、大和では、彼らの成功を祈るくらいしか出来ないのだ。


だが、そんな苦しみも終わりを迎えた。


「第一中隊、カルガリー主要施設の制圧に成功とのことです!」


「おお。これで、大和の取り分は完遂したな」


既に、イエローナイフの制圧は完了している。大和の担当する2つの都市は、制圧された。


更に10分もすると、武蔵、出雲の担当都市も、制圧が完了したと報告が入った。


これで、本土はここでの状況を把握できない。北部6都市は、今や裸城である。


「では、全軍に、この計画を伝えるのですね」


東條中佐は尋ねる。


「そうだ。所詮、制圧したのは主要施設だけだからな」


今はまだ、本土との通信を途絶しただけである。警察署を制圧しても、各所に警察官は散らばっており、また、内務省などの職員も、軍政庁に全てがいる訳ではない。


また、都市そのものを制圧しなければ、独立国家などできない。その為には、いよいよ、全軍を動かす必要がある。


「大化作戦を、全艦隊に通達せよ。また、全艦隊に通信を繋げ」


大化作戦とは、完全に北部の都市を制圧する為の、飛鳥作戦が付随する作戦だ。


まずは、各艦の艦長クラスの指揮官に、大化作戦を通達する。彼らは、それを下士官に伝え、それが兵卒にまで伝わる訳である。


「こんな命令が下されても、誰も信じない気がしますが」


「まあ、そうかもな。その為にこれから、スピーチをしてやろうと思ってな」


「そっ、そうなのですか?初耳です」


「ああ。そうだろうな。何せ、今、考えたからな」


「はあ……」


東條中佐の懸念は、突然、大化作戦を伝えられても、何かの間違いだと思われるだけになるかもしれない、というものだ。事実、東條中佐も最初は混乱していたから、あながち、的を外したものではない。


そんな懸念に、東郷大将は、演説でもって応えようと言うのである。


そして、1時間が経った。今頃は、一応、大化作戦が全軍に伝わっている頃だろう。平常ならば20分もすれば伝わるので、これは、かなりの余裕をもった時間だ。


東郷大将は、この間、演説の内容を考えていた。まあ、大した演説をする訳でもないのだが。目的はあくまで、大化作戦への士気を上げることである。


「全艦に繋いでるな?」


「はい。全艦のモニター、正常に作動しています」


「結構。始めよう」


東郷大将の前には、幾つかのカメラやマイクが設置された。演説の為の、臨時の設備である。


そして、東郷大将の姿が、全東方方面軍の艦艇に伝わる。


「これを見ている諸君。大日本帝国陸軍大将にして、東方方面軍総司令官の東郷五十六だ。


私は今、大和の艦橋から、この演説をしている。


さて、おおよそ、私が何故演説をしているのか、諸君ならばわかるだろう。


先程の命令、名を大化作戦と言うが、この作戦について、私が伝えたいことがある。その為に、今、演説をしているのだ。


諸君には、イエローナイフとカルガリーを制圧せよ、との命令が下っている。それは、紛れもなく正しい命令だ。私が下した命令である。


間違いなどではないから、安心したまえ。


大化作戦では、イエローナイフとカルガリーを制圧する。それは、政府のすべての機関を占領し、それぞれの都市を軍の支配下に置くということだ。


これで察したものも多いだろう。これはまさに、叛乱に他ならない。私は今、諸君らに、叛乱を強いている。


その目的は、この無意味な戦争を終わらせること。そして、政府を健全な姿へと戻すことだ。


先の核攻撃は、政府の無慈悲さを露呈した。先の核攻撃は、いわば、見せしめに過ぎなかった。


これに対し、私は、この国を変えねばと決意した。しかし、あくまで、私は、この国の政体までもを変えようとは思っていない。


この地で叛乱を起こし、政府に要求を突きつけることが、私の目的だ。それ以上のことは望まないし、させるつもりはない。


諸君らには、八紘一宇の精神に則り、世界平和を求め、人々が最も幸福となる為には、何が必要なのか、考えて欲しい。


八紘一宇の理想の為には、この叛乱は必要であると、私は考えている。


大化作戦の詳細は、既に送った通りである。


諸君には、最大の奮戦を期待する!


今の非道な政府ではなく、正しい帝国、皇国の姿を、世に知らしめるのだ!


帝国万歳!


諸君に武運があらんことを!


終わり」


これより、大化作戦が始まるのだ。



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