ケープタウンにてⅢ
サブストーリーです。どうしてアフリカの話をするかと考えると、今後の展開も予想出来るのではないでしょうか。
アフリカ連邦共和国首都、ケープタウンでは、アデナウアー大統領とアガトクレス大統領の会談が開かれていた。
今回の議題は、軍事問題についてであった。
「敵の様子はどうだ?」
アデナウアー大統領は尋ねる。
「もう、抵抗出来る力は残ってないだろうな。敵の戦力は、壊滅している」
アガトクレス大統領は答える。
「敵」とは、アフリカの北西の端っこで未だに立て籠る「自由アフリカ」のことである。現在、彼らが支配する都市は7だけである。アフリカ全体で100程ある都市全体と比べれば、僅かなものである。
「それで、我が欧州軍の援軍は、まだ必要なのか?」
欧州合衆国は現在、アフリカに1個艦隊を派遣している。また、その他の軍需物質や軍事顧問団も派遣していた。
「それだがな、まだ必要だ」
「何故?」
「いや、自由アフリカ相手は、私の貧弱な軍隊でも勝てる」
現在、内戦によって疲弊しきったアフリカ軍は、4個艦隊にまでその戦力を落ち込ませている。艦隊の数で言えば日本の半分だが、その中身も損耗しきっており、実質は、日本の艦隊2、3個分程度である。
それは、世界最弱の軍隊である。
しかしながら、自由アフリカの戦力は更に弱い。艦隊の数で言えば、ほぼゼロと言ってもいいものだ。まともな組織ではなく、辛うじて使える艦を散発的に使うに過ぎない。唯一の脅威は空母が1隻向こう側にあることだが、もはや艦載機も残されていない。
空母があっても、艦載機がなければ、それは、ただの箱に過ぎない。戦艦もあるにはあるが、弾切れ状態で、使い物にならない。
「戦後を見据えて、か?」
アデナウアー大統領は、アガトクレス大統領の思惑を察したようである。
「そうだ。アラブ連合の介入が恐いんだよ」
アガトクレス大統領は、弱気に答えた。アガトクレス大統領は、頷いてこれに答えた。
アラブ連合の戦力は、全部で5個艦隊である。これは、アフリカを除く列強の中では、最弱の戦力である。しかし、一方で、無視できる程小さくはない。単独でそれと戦えば、勝てない筈はないのである。しかし、ある列強と列強の戦いにアラブ連合が加わると、味方された側の勝利は確定する。そういう塩梅だ。
だが、現在のアフリカの戦力は、そのアラブ連合未満である。戦後、アラブ連合がアフリカの内政に干渉してくる可能性は排除できない。いや、寧ろ、その可能性が高い。
その為、逆に欧州合衆国が介入を続ければ、アラブ連合は黙るというものである。
「なるほどな。まあ、欧州合衆国としても、アフリカでの利権は欲しいのでな。ウィンウィンだ」
「よろしく頼むぞ」
会談は、その後20分程で短く終わった。