表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
186/720

カルガリー制圧作戦Ⅱ

部隊は、まったく普通の格好を装い、ドアへと近づく。もちろん、その服の中には、いくつもの銃器が隠されているが。


「では、行くぞ」


「はい」


牟田口大尉は、ドアを開ける。受付の者や、その他の客、休憩中と思われる者など、ホールは閑散としている。彼らの視線が集まったが、すぐに伏せられた。


だが、それは間違いである。


「ドアを封鎖だ」


「了解」


兵士は、後方のドアに鍵を付け、内側からは開かないようにした。怪しい作業をする兵士に、にわかに視線が怪訝としたものに変わる。


そして、ついにその時が来た。牟田口大尉が、全員に目配せをする。


その瞬間、全員が一斉に銃を取り出した。そして、銃はホールに向けられる。


「我々は、帝国陸軍だ!諸君らには、ここで人質になってもらう!」


牟田口大尉は宣言した。そして、兵士らは、ホールに押し入っていく。


「なっ、なんだ!」「ひぃっ!」


「手を上げろ!」「逃げるな!」


兵士らは、10秒と経たないうちに、ホールを制圧した。兵士らは、人々を部屋の一角に集める。さしたる抵抗もなく、あっという間にホールは静まった。


「ここで動くなよ」


「では、行きましょう」


「ああ。お前らは、こいつらを見張っておけ。残りは目標を目指すぞ!」


「了解!」


3人程の見張りを残し、牟田口大尉は上へと向かう。こちらの目標は、通信室である。


牟田口大尉は、無言で階段を登っていく。他の者も同様だ。


「うわ!なんだ!」


だが、階段にも人はいる。銃を持った武装集団に、彼らは怯えているだろう。


「手を上げろ!」


「はっ、はい」


一人の兵士が、階段にいた職員に銃を向ける。その職員は、酷く怯えているようだ。だが、そんなものには構っていられない。


「お前が捕まえとけ!残りは上がるぞ!」


「了解!」


一人を見張りに残し、残りの兵士は、階段を登っていく。まだ2階にも辿り着いていない。まだまだだ。


だが、その後も人と遭遇する度に、一人ずつ部隊が減っていく。


「残りは12か?」


「はい。ですが、行けるでしょう」


「ふっ、そうだな」


4階に着いた頃には、13人も見張りに取られていた。だが、目標は非武装であり、こちらは訓練された軍人だ。制圧くらい容易だろう。


軽く一人を黙らせると、ついにその部屋に辿り着いた。ドアの前で、兵士らは銃を構える。


「ここだな」


「ええ」


「よし、3、2、1、突入!」


通信室のドアを、部隊は一気に蹴破る。そして、素早く部屋の中へと入っていく。


突然の来訪に、職員は、何も状況がわからないらしい。


「手を上げろ!通信を切れ!」


部屋の真ん中で銃を向けられた時、やっと彼らも気づいたようだ。


意味がわからないといった顔だが、職員らは手を上げた。


「おい、そこ!」


その時、一発の銃声が響いた。牟田口大尉は、一台のデバイスを撃った。その職員は、本土との通信を試みていたのだ。


「動くなよ」


職員は、渋々と、黙って従った。


「デバイスの電源を切れ。そうすれば、危害は加えない」


牟田口大尉は言った。職員らは、次々と通信デバイスの電源を切る。そして、通信室からは、機械の音が消えた。


「第二小隊の状況は?」


「はい。たった今、長官室を制圧したとのことです」


「よくやった!じゃあ、こいつらを下に運べ」


「了解です」


とりあえず手を上げさせていた職員らを、部隊はホールへと連れていく。こちらも、銃を突きつけられ、抵抗はなかった。


そして、他の部屋も順次制圧された。


ホールには、軍政庁の全職員が集められた。ホールはぎゅうぎゅうで、なんとも窮屈そうだ。だが、それも仕方あるまい。


そして、ひしめく人々も、兵士に銃を向けられては、一言も喋らない。


「警察署の方は?」


「制圧完了です」


「よし。成功だな」


軍政庁、警察署、どちらも制圧された。これで、本土との公式な通信手段はなくなった訳だ。残っているのは、その他の職員のデバイスくらいである。そんなものからでは、本土へ正確な情報は伝わらまい。


カルガリーは、本土から隔絶されたと言っていいだろう。これからは完全に制圧せねばならないが、それも容易である。


カルガリーは、落ちた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ