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終末後記  作者: Takahiro
1-6_内乱
180/720

時計塔にてN/A

サブストーリーです。

チャールズ中将と近衛大佐は去った。


「ねえ、レイ君、これが君が望んだ世界なの?」


「濫觴の撥条塔」がある尖塔の上層には、ノンの他にも人が住んでいる。また、一階はあれほどの荒れようなのに、二階や三階は驚くほど綺麗である。


塔は、四階建てであり、階段は螺旋階段がひとつあるだけの、簡素なものだ。


その二階は、壁の殆どが本棚になっており、本に囲まれた落ち着いたフロアである。


そして今、ノンが話しかけるのは二階の住人、いつも気だるそうにして豪華な椅子に座っているパーカーの少年、(レイ)だ。


「はっ、そんなはずはないだろ。革命を引き起こしても、結局、その支配は、奴等の手の内になってしまったじゃないか。」


レイは、酷く不機嫌そうに言う。


「それは……」


ノンは言葉につまる。


「あの()()()は、どうにかならないのか?」


「彼は、()()()()()()だから、それは無理かな。それに、私は()()()だから。」


「まったく、()に負ける使()()とは、零楽甚だしいものだな。」


「いやー、それは、ヒトが勝手に呼んでるだけだからさ。はは。」


ノンは、ばつが悪そうにしている。零は予想外に不機嫌になってしまい、ノンは、何とか事態を収集しようと努める。


「まあまあ、別に()()()()()()()でしょ。今はこんな場所でカフェやってても、いつかは願いは叶うよ。」


「まったく、カフェは自称だろう。それに、だったら、お前も手伝え。」


「うん、もちろんだよ!」


一応、ノンの方が立場が上なのだが、ノンは零のペースに完全にもっていかれている。


二人が口論をなおも続ける時、上の階から一人の男が降りてきた。


「やかましいぞ、二人とも。」


男は、これまた不機嫌そうに文句を言う。


「ごめん、多田君。ほら、レイも謝れ。」


「はっ?何で、僕が。…………す、すまない。」


「よろしい!」


しかし、白衣に身を包んだ孤高の男、多田博士はなおも不機嫌そうである。


「はあ、まあそんなことはどうでもいいんだが。レイに、激しく同情するよ。私も、こいつのせいで散々な目にあったからな。」


多田博士は、ノンを繰り返し雑菌か何かのように指差しながら、零に向かって言う。零は、何度もうなずいている。


「ごめんよ、二人とも。」


なんだかんだといって、彼らの不憫な顛末は、大体がノンのせいでもたらされたものであった。


ノンは、苦笑いしながら謝る。


「用事はそれだけか、博士。」


「まあ、そうだな。特に用はない。では、私は自分の研究に戻らせてもらうよ。」


「じゃあね~。」


多田は、先ほど下ってきた階段を登っていった。


「ふう、丸く収まったね、レイ君。」


「まあ、そうだけど。言っとくが、僕は夢の実現はまだ棄ててないからな。」


「うん。私も、()()()の命令があるから、手伝うよ。これからも、頑張ろうね。」


「ああ。」


二人の口論は、多田の来訪で収まったようだ。意外と、彼の目的は、これだったのかもしれない。


「今日は、誰か来るのか?」


「今日は、暇かな。」


「そう。たまにはカフェの整頓でもしたらどうだ。」


「ははは…まあ、いつか、ね。」


そう言うと、ノンは螺旋階段を降り、「濫觴の撥条塔」へと向かう。


「ふう、私もN.I.としてちゃんと仕事しないとな。」


そう言うと、ノンは、カフェの掃除に勤しむのだった。だが、あまりの汚さに掃除を諦めたのは、言うまでもない。



レイ君のもとネタは、レーニンですね。

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