ホワイトハウスにてⅧ
サブストーリーです。ホワイトハウスにて、も、だいぶ来ましたね。
ホワイトハウスでは、ルーズベルト大統領とその閣僚が、いつもの会議を開いていた。
かつてのワシントンとニューヨークは滅んだが、両者は地理的に非常に近かった為、その住人は、ひとつの都市、つまりここワシントンに引きこもった。この世界に、ニューヨークは無いのである。
ホワイトハウスには、不穏な情報がもたらせれていた。
「ニミッツ大将に謀反の動きあり、ですと?」
「ああ。正確には、種明かしをする動きあり、だがな」
ニミッツ大将が、近頃、政府の情報を漁っているとの報告があった。もしも、これがバレれば、由々しき事態である。
だが、ルーズベルト大統領は、そんなことには動じなかった。
「例えば、バレたとしよう。チャールズ元帥は、もしかしたら、クーデターに訴えるかもしれない。だが、それがどうしたのかね?チャールズ元帥の下の兵力など、大したものではないだろう?」
チャールズ元帥は、現在、4個艦隊を率いている。だが、それは米軍10個艦隊とその他からすれば、大した戦力ではない。それに、生産拠点はほぼ全て政府の支配下にある。チャールズ元帥に、勝ち目はない。
「確かに、そうですな。ですが、あの新兵器が使われた場合、こちらは一気に壊滅しかねませんぞ」
「そうなれば、地上戦に訴えるしかないな」
艦隊に関しては、チャールズ元帥に大きな力があるが、陸戦戦力に関しては、なおもその他の将軍に実権がある。
「ですが、飛行戦艦相手では、いくら優勢な地上戦力を持っていても、勝ち目は薄いと思われます」
「それもそうだが、まあ、チャールズ元帥の良心にでも賭けてみようじゃないか」
飛行戦艦で地上戦力を殲滅するには、当然、都市を破壊しなければないない。チャールズ元帥は、比較的人道的な人物であるから、それに踏み切れないだろう。それに期待すれば、勝ち目はある。
「だが、諸君。艦隊戦で勝てるのならば、それに越したことはない。まずは、飛行艦を集めておこう」
ルーズベルト大統領は言った。
南米やワシントン、それに欧州にも、米軍の戦力は散らばっている。それをかき集めれば、相当な戦力となるだろう。
「まずは、欧州から退きましょう。奴等とて、文句は言えますまい」
「そうだな。それが最優先だ」
欧州派遣軍は、公式にはただの義勇軍ということになっている。つまり、それは正式な米軍の部隊ではないのだ。それには、勝手に撤退する権利がある。
「あとは南米か。治安は、今のところどうかね?」
「かろうじて、不満は抑えられています」
「よろしい。では、戦力の引き抜きもできるかな?」
「はい。問題ないでしょうな」
南米からも、戦力は引き抜けるそうだ。現地の不満も、今のところは、平和的なデモに収まっている。
政府の戦力は、確実に確保されている。