モスクワにて
初めてのソビエト共和国です。
サブストーリーです。
時は、東郷がサンフランシスコで戦っている時である。
ソビエト共和国首都、モスクワ。その中心にそびえ立つクレムリンにて、大臣達は会議を開いていた。
その首班は、ソビエト共和国の最高権力者であるジュガシヴィリ書記長である。かのスターリンのごとき威厳を持ち、閣僚に畏れられる男だ。
話し合われていたのは、今後どの勢力につくか。あるいは中立を貫くかである。
「日本の、甲号作戦とやら、どう転んでも成功は堅いでしょうね」
そう判断したのは、ジューコフ少将である。この議場の中では、最も清々しい性格の将軍である。また、共和国の軍人の中でも屈指の美男子と知られている。
「だが、東に行くほど、要害は多く造られている。日本軍も苦戦するだろう」
「確かに、そうであります」
「では、どちらに味方すべきだと思うか?」
「定石から言えば、アメリカと組んで日本を挟み撃ちすべきでしょう。しかし、ルーズベルト大統領。向こう側につく彼を生かしておくのは、将来の禍根になりかねません」
「日本に味方すると?」
「少なくとも、日本政府を御すのは容易でしょうな。ですが、彼の計画を胸に秘める天皇は、危険です」
「では、中立か?それとも、東郷大将とやらからの要請を承けてやろうか」
「成功すれば、我が国の利益となるのは、東郷大将と同盟することでしょう」
「我が人民の安寧が、最優先だ。最も人民の利益となる方策を検討せよ」
彼らの会議はまだ続く。




