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終末後記  作者: Takahiro
1-5_大東亜連合
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元老院Ⅵ

サブストーリーです。

その日、皇居は荒れていた。それは、カルガリー攻防戦の翌日であった。元老は皆が不機嫌で、いきり立っていた。


「加藤少将は何をやっとる!」


「そうです。彼女の行為は、我々への背信に等しい」


カルガリーにて米艦隊を壊滅させた加藤少将は、何故か、激しい怒りの矛先を向けられていた。


「確かに、敵に打撃を与えよ、とは言った。だが、あれ程までにすれば、何事もなく帝国軍は勝てるではないか!」


帝国軍が勝てること、に彼らは怒っていた。それは、あまりに理不尽と聞こえるだろうが、彼らの大義の前には、正当なことこの上ないものである。


「落ち着け。お前のような狂犬に、帝国は任せんぞ」


「へ、陛下。申し訳ございません」


元老院の主は、静かに、しかし圧倒的な威圧をもって場を制した。その言葉に、誰もが恐れ慄いた。


「肝要たるは、時局を見極め、施策を熟考することであろう」


「はっ。まさにその通りにございます」


過ぎたことに怒りをぶつけていても、時間の無駄である。彼らは、次の政策を考え始めた。


「では、加藤少将に戦線を拮抗させるよう命じつつ、東郷大将を引き抜き、本国、もしくは大東亜連合内に引き止めておくのは如何でしょうか?」


「だが、どのように引き止めるんだ?不自然に本土に留まらせていては、軍から不信を買うことになるぞ」


「それは、叛乱を起こしてもらう、ことで解決します」


「叛乱?どうして米軍が協力するんだ?」


叛乱とは、東アジア解放戦線のことである。今のところ目立った動きはないが、叛乱を起こそうと思えば起こせる組織だ。それは、元老院も警戒する要素の一つである。


「彼らからしたら、我が軍を妨害しようという純然たる目的で、叛乱を起こすでしょう。つまり、逆に、東郷大将が帰還することを匂わせておけば、それを食い止めるため、米軍はテロに訴えてくるということです」


「なるほどな。それは名案だ。その策ならば、我々の目的を同時に果たせるな」


ある元老は、薄ら笑いを浮かべた。


「では、皆々、宜しいかな?」


元老は、全会一致で頷いた。


「陛下、ご裁可を」


「良い。戦争を長引かせよ」


ここに、新たな奸計が実行されるのであった。




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