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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
128/720

ケープタウンにて

サブストーリーです。

ここは、アフリカ連邦共和国の首都、ケープタウンである。ケープタウンは、アフリカの南端に位置する都市であり、内戦の中でも、常に政府の手中にあった。


内戦の初期には、ここと数ヶ所の都市しか政府の都市はなかったが、今では、アフリカの過半が政府の支配下へと回復した。そして、反政府軍の都市は、20を切った。


ケープタウンでは、アフリカ大統領ネルソン・アガトクレスと、欧州大統領ウィリアム・アデナウアーが会談に臨んでいた。だが、その様子は、ただの友人同士の会話のようである。この二人は、政治家としてではなく、二人の人間として、親しいのである。護衛しかいないこの状況では、二人は自由に話せるのであった。


「なあ、ウィリアム。私たちは、正しいのだろうか?」


アガトクレス大統領は、まさしく剛健な人間と言った男である。そんな彼は、一つの疑問を友人に投げ掛けた。


「正しいか、正しくないかは、後世の人々が決めるものだ。我々は、ただ、自分の正義を信じるしかないな」


アデナウアー大統領は、一言でいうと気難しそうな老人と言った男はである。しかし、その声は力強かった。


「そうだな。世界の為を思って、我々は行動するんだ。国民を傷つけたのは、必要悪であると思おう」


「ああ。国民からは、悪魔と呼ばれても構わない。結果的に皆を守れればな。どこの独裁者が、国民を傷つけたいと思うものか。スターリンも、ポル・ポトも、そうだった。その為にも、今は、国民を弾圧して見せよう」


一人(独裁者)(国民)の為に、だな」


二人は、哀しく語り合った。だが、話は次に移った。


「ところで、この『カルタゴ』だが、いつ使えるようになるんだ」


アデナウアーは尋ねる。


「どう足掻いても、あと1年は必要だ。アフリカには、これを操る技術が足らないんだ」


「欧州にも、だ。こいつの工作精度は、あまりに高過ぎる。流石旧文明と言ったところだよ」


二人は、艦船の中で会話を交わしていた。だが、それは普通の艦ではない。それは、500m四方を上回る、あまりにも巨大な艦である。そして、今はまだ飛ぶことはできない。精々、ケープタウンの砲台になる程度である。まあ、それでも十分に強力なのだが。


そして、この船の名は、「カルタゴ級航空戦艦一番艦カルタゴ」である。カルタゴとは、かつて地中海の覇権を巡り、ローマと戦ったアフリカの大国である。


そして、カルタゴは、空母にしても規格外の艦載機を誇り、戦艦としても規格外の砲とミサイルを誇る、まさに世界最強の艦である。


「早い完成を願っているよ。欧州合衆国も、できる限りは援助しよう」


「助かるよ」


カルタゴは、まだ完成していない。旧文明の兵器は、この時代の技術者からすると、オーパーツのようなものだ。


オーパーツは、ただただ地面に横たわっていた。




あのカルタゴですよ、皆さん。

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