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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
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天雷作戦Ⅰ

ここからはサクサク戦争していきます。

連合艦隊は陣形を展開し、米艦隊を待ち受けていた。連合艦隊の鶴翼の陣に対し、米艦隊はそれを包み込む程の広い横陣をとり、これに対抗した。


また、米艦隊の進撃もそこで止まり、両軍は再び、奇妙な陣形同士でのにらみ合いを再開したのだ。


そして、舞台は武蔵、即ち第二艦隊旗艦に移る。


「そろそろ、我々の出番だな」


伊藤少将は、武蔵から艦隊の指揮を執る。艦橋では、伊藤少将が足を組んで戦局モニターを眺めている。


そして、第二艦隊に与えられた使命は、第二艦隊が草薙の剣を持っていると、敵に誤認させることである。


「少将閣下、東郷大将より、天雷作戦を開始せよと、通達がありました」


「よろしい。それでは、作戦を始めようか。全艦、DO5空域まで前進せよ。敵に接近する」


第二艦隊は、ゆっくりと動き出す。カルガリーでは2回目の突出である。


「敵、動きありません」


「このまま進め」


第二艦隊は、敵の陣形の外側を目指すように進んでいる。これは、敵を包囲せんとする動きである。しかし、敵に目立った反応はない。


「念のためだが、主砲弾を六三式対空炸裂弾に変更せよ。残りの2つだ」


ここで言う残りの2つとは、草薙の剣の張りぼてを除いたものである。つまり、第二艦隊からの砲撃は停止するということだ。ちなみにだが、草薙の剣に偽装した砲にも、対空砲弾が詰められている。だが、まだ使えなさそうである。


だが、砲撃を停止するという奇妙な行動をする第二艦隊に対しても、米艦隊は砲撃と対艦ミサイル攻撃を仕掛けてくるだけである。


第二艦隊は動き続けているため、敵の砲弾は大して当たらず、対艦ミサイルも薄いため、殆どが迎撃できている。今のところ、両艦隊に被害は皆無といっていいだろう。


そして、第二艦隊は指定の空域、米艦隊の右側にまで到達してしまった。


「さあ、いつ来るかな」


米艦隊は、艦の向きを変える程度で、何もしてこない。また、第二艦隊は米艦隊から一定の距離を取っており、離脱は十分に可能である。


連合艦隊から完全に離れた第二艦隊は、米艦隊の左翼と砲撃戦を交わす。だが、射程ギリギリでの砲撃戦は、双方ともに劣化ウランとニッケルを無駄にするだけだった。


「あの加藤に第六艦隊を任せるとは、まったく、大本営はとち狂ってるな」


伊藤少将は、やれやれと両手をあげながら、部下に愚痴をこぼす。彼の職場は、何ともふざけた雰囲気が蔓延しているのだ。


「まあ、米艦隊がかわいそうですが、そんなことを気にしてはいられませんね」


「はは、そうだな。米軍には、加藤少将の餌になってもらおう」


加藤少将は、帝国軍でも一番の好戦将軍と目されている。彼女の用兵の苛烈さは、彼の真田幸村の如しと呼ばれているのだ。


「その為にも、我々は敵を騙さねばなりません」


「狂犬の餌ごとき、簡単に騙してやるさ」


武蔵艦橋は、笑いに満ちた。だが、その無駄話も突如中断される。


「レーダーに、多数の反応あり!数はおよそ1200」


レーダーに、突如として無数の光点が現れた。艦橋は、一期に緊張に包まれる。


「ケラウノスか。全艦、迎撃用意」


1200というが、大した回避軌道も取らない対艦ミサイルなど、幾らでも迎撃できるのだ。伊藤少将は、まだまだ余裕である。


しかし、更なる続報が届く。


「敵艦隊より、更にミサイル追加!数は400!」


これで、合わせて1600発のミサイルが飛んでくる訳である。


「対空砲弾、放て!全対空ミサイルを射出せよ!」


もっとも、迎撃で出来ることなど限られている。第二艦隊は、いつも通りに、ケラウノスを迎撃していく。


「おっと、1発食らったか」


武蔵にも、衝撃が走った。だが、こうして普通に戦闘指揮が出来るならば、大した被害はないだろう。


「艦隊の被害は?」


「15発ほど、食らいました。現在、生駒が主機に損傷とのことですが、他は小破で済んだようです」


艦隊は、巡洋艦1隻が脱落で済んだようだ。伊藤少将は、安堵の胸を撫で下ろす。


「それで、武蔵の被害は?」


「およそ、左舷の装甲が破損した程度のようです」


「よろしい。しかし、こんな時、大和だったら即座に被害報告をくれるんだよな」


大和は、自らの被害を一瞬で判断できるどころか、被害の集計も一瞬でしてくれるそうだ。東郷大将が羨ましい限りである。


「米艦隊、動き出しました。こちらとは距離を取っているようです」


「よし、かかったな。東郷大将には、第三段階に入るよう伝えてくれ」


天雷作戦は、順調に進んでいる。



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