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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
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天雷作戦概況

「カルガリーまで、15kmです」


「結構。これより、天雷作戦を開始する。全艦、行動を開始せよ」


東郷大将の定めたラインである、15kmに連合艦隊は到着した。東郷大将の号令で、天雷作戦が開始される。


作戦の第一段階では、連合艦隊を先に定めた通りに3分割する。現在でも既に別れているが、それを更に別個の艦隊にまで分解するのだ。


この時点で連合艦隊は後退を停止し、今度は横に動き始める。第一艦隊を中心とする中央部より、第六艦隊、第二艦隊が離れていく。但し、このまま一直線に横に広がる訳ではない。


両艦隊は、敵がいる東に向かって、斜め前へと展開していく。これで、鶴翼の陣の完成である。セオリー通りなら、連合艦隊は、こちらに向かう米艦隊を包囲できる。だが、今回は戦力において劣勢であるのみならず、東郷大将は、陣形を大きく開くように命じていた。つまり、各個撃破を食らう可能性が高い。


東郷大将は、鶴翼の陣を鶴翼の陣として運用する気はないのである。


「敵がわざわざ中央に突っ込んでくると思われますか、閣下」


東條中佐は尋ねる。


「余程敵が無能でなければ、それはないだろうな。来るとしたら、右翼か左翼だろう」


この鶴翼の陣の中央に飛び込めば、米艦隊は即座に包囲され、殲滅されるだろう。よって、敵が包囲網の中に飛び込んでくる公算は、これまでの敵を見るに、非常に低い。とすると、敵は、第二艦隊か第六艦隊を狙って攻撃してくるだろう。天雷作戦も、その前提の上に立脚している。


「後は、敵が上手く騙せれてくれるか、ですね」


「ああ。草薙の剣の張りぼても、上手く使わなければな」


艦隊の主砲のうち幾つかは、草薙の剣と同じ見た目になるよう、偽装されている。実際には、第六艦隊にしか草薙の剣はないのだが、敵からすれば、大量のプラズマ砲が配備されていると見えるだろう。しかし、敵は、そんな大量のプラズマ砲があるはずないと把握しているだろう。つまり、敵からすれば、今はどれが本物の草薙の剣かを見分ける戦いなのだ。


そして、敵が偽物を本物かをだと思ってくれれば、こちらとしては嬉しい限りである。


「伊藤少将ならば、失敗することはないだろう。少将を、私は信じる。それが、上官足るもののあるべき姿だろうからな」


計画では、伊藤少将率いる第二艦隊が草薙の剣を持っていると、敵に思い込ませる予定である。そうして、第六艦隊が持つ本物を隠すのだ。


「自分も、伊藤少将を信じています」


「結構。後は、私が少将の努力を灰塵に帰さなければいいということだな。敵を殲滅するのは、私の仕事だ」


第二艦隊が草薙の剣を持っていると思えば、敵は第二艦隊から距離を取るだろう。同時に、他の艦隊への警戒が緩む筈である。そこで、第六艦隊が一斉攻撃を仕掛けるのだ。


これで持って、敵に壊滅的な打撃を与えるのが、天雷作戦の大枠てある。


「第二艦隊、第六艦隊ともに、所定の位置につきました。また、米艦隊に不穏な動きはありません」


陣形は完成した。極度に開いた鶴翼の陣である。後は、米艦隊の出方次第だ。


「結構。伊藤少将に作戦開始を通達せよ。これよりは、伊藤少将の判断に全てを委ねる。また、加藤少将にも、…よろしく言ってくれ。全艦、行動を開始せよ」


第二艦隊は、伊藤少将の指揮に一任される。彼の手腕に、天雷作戦の成否は掛かっている。ここで負ければ、帝国軍は、ロッキー山脈の西に無様に引きこもる羽目になるだろう。


ちなみに、ここに来て急に出てきた加藤少将とは、第六艦隊の指揮官である。そして、帝国陸軍8個艦隊の8人の司令官のうち、唯一の女性である。


作戦の枢要を担う彼女が、どうして誰もその存在に触れなかったかといえば、彼女が、本当に、帝国で一二を争う「ヤバい奴」だからである。それは、東郷大将も引くレベルである。まあ、優秀なことは優秀なので文句は言えないのだが。


それはさて置き、ここに、天雷作戦の第二段階は開始された。



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