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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
122/720

ベルリンの朝夕

サブストーリーです。今回は政治思想が濃いですね。

ヘス総裁は、国家社会主義ヨーロッパ労働者党の総裁である。だが、いつしか彼女は、ヘス()()と呼ばれるようになっていた。それはもちろん、カール大帝、ナポレオンと並ぶヨーロッパの英雄、アドルフ・ヒトラー大総統にならったものである。


国家社会主義ヨーロッパ労働者党は、着実に支持を伸ばしていた。ベルリンで行う演説には、数千の人々が詰めかけていた。


「そして、我々、N(国家社)S(会主義)E(ヨーロ)A(ッパ労)P(働者党)は、この国を、根本から革命する!我々は、悪しき民主主義を破壊し、新たな独裁体制を作らなければならないのです!」


Heil Heß(ヘス万歳)!」「Sieg Heil(勝利万歳)!」


人々は、次々と彼女を褒め称えた。その様子は、まさに、ヒトラー大総統の勇姿が、450年の時を経て甦ったかのようである。


そして、今やヘス総統は、ベルリン随一の実力者となっていた。しかし、彼女が政界に入ることは出来なかった。アメリカ連邦の介入や、政府の不当な扱いが、その原因であった。


だが、民衆は確実に彼女を支持している。


「既に、ゲッベルス上級大将や、ド・ゴール大将も、我々への支援を約束してくれました。最早、我々はこの国の多数派となっているのです!」


ゲッベルスとド・ゴール。どちらも、合衆国軍の最有力の実力者である。彼らが非公式とはいえ支持をしているという事実は、国家社会主義ヨーロッパ労働者党の支持を更に拡大させた。


「最早、我々は、この国を変革するしかありません!古臭い民主主義を唱える保守党を放逐し、NSEAPによる一党独裁体制を作りあげるのです!」


ヘス総統は、民衆に、もはや革命しかないと訴えかけた。世界初の独裁化革命を、このヨーロッパの地で起こさねばならないのだ。


だが、演説に邪魔が入った。周囲に現れたのは、警官隊、若しくはアデナウアーの私兵であった。


「皆さん!政府の暴圧に、屈してはなりません!必要とあらば、実力に訴えるべきなのです!」


警官隊は、強制的に演説を止めさせようと、聴衆を掻き分けてきた。いつもなら、ここで解散となるはずだった。だが、今回は違う。


「死ね!民主主義者の犬が!」


ある男が、警官に殴りかかった。それが始まりであった。


警官隊は男を取り押さえようとした。


だが、更に周りから総統の支持者がそれを阻止する。支持者たちは、警官隊の前に立ちふさがった。そして、警官隊は支持者たちに攻撃し始めた。警棒で彼らを殴り、あくまで男を捕らえようとする。だが、警官隊は、高い代償を支払う事になる。


「奴らを殺せ!」「今こそ革命の時だ!」「やれ!やれ!」


その瞬間、群衆の目の色が変わった。群衆は、一斉に警官隊に襲いかかったのだ。


「下がれ!下がれ!」「下がるか!」「こっちには国がついてるんだぞ!」「合衆国何てクソ食らえだ!」「死ね!」


警棒を振り回す警官隊。ひたすら押し寄せる群衆。勝敗は明らかだった。


警官隊は群衆に押しつぶされ、殴られるがままに殴られた。抵抗の手段はない。警官隊の機動服も、一瞬にしてボロ切れになった。


「今こそ、革命を起こしましょう!国会議事堂、首相官邸に攻め込むのです!」


「おおおお!!!!」


数千の群衆は、その瞬間、団結する者になった。そして、ベルリンは今、炎に包まれる。流れる人の奔流は、欧州合衆国を吞み込むのか。結果は誰にもわからない。


何か、ヨーロッパの方は大変なことになってますね。

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