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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
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カルガリー到着

崩壊暦214年8月21日13:43


連合艦隊は、ロッキー山脈山麓の都市、カルガリーにまで撤退した。これで、前線は、およそ3ヵ月分後退したことになる。


「どうやら、第六艦隊の到着には間に合いそうですね。閣下の英断のお陰です」


「いや、中佐。サスカトゥーンを捨てるというのは、戦略上、愚かな行為には違いない。我々は、今、戦術で戦略をひっくり返すという博打をしているんだ」


今後のことを鑑みれば、サスカトゥーンでは遅滞戦闘を展開し、そこで第六艦隊を待つべきであった。確かに、カルガリーでは、米艦隊を殲滅できる可能性は高まるが、殲滅できなければ、帝国軍の戦略的な不利は明白である。


「まあ、要するに、やればいいんでしょう、米艦隊を滅ぼせば。閣下?」


最近あまり仕事がなかった近衛大佐は、この状況でもお気楽である。


「そうだな、大佐。確かに、そうではある」


「つまり、敵を殲滅すれば良いのですね!?閣下。ならば、我々にお任せを」


血気盛んに首を突っ込んできたのは、近衛大佐以上に仕事がなかった、いや、なかったと考えている神崎中佐である。ちなみにだが、東郷大将から見れば、神崎中佐は、セントポール攻防戦で十分に活躍している。


数的に不利な航空艦隊を率い、何とか、艦隊が米軍機の滅多打ちに遭うのを防いでくれたのだ。


だが、神崎中佐としては、敵を爆撃しなければ気が収まらないらしい。神崎中佐は、セントポールでの無念を果たすため、躍起になっているのだ。


「まあ、航空艦隊は、引き続き、航空優勢をとらせないでくれれば、大和としては助かるんですがね」


「なっ、それでは、我が航空艦隊は、戦果なしで終わるではありませんか、大佐!」


「落ち着け、中佐。敵から航空優勢をもぎ取るだけでも、十分な活躍だ。急降下爆撃は、いつもするようなものではないだろう。だが、大和にも、航空艦隊にも、カルガリーでは、存分に活躍させてやるから、安心したまえ」


神崎中佐は、敵を沈めなければ満足できないようだ。対して、近衛大佐も近衛大佐で、大和が活躍できれば良いようである。だが、そんなことを語れるほど、帝国軍に余裕はないのだ。死力を尽くし、米艦隊を殲滅せねばならない。


「是非とも、戦闘の際には、航空艦隊にご命令を下さい」


「ああ、もちろんだ」


「ありがとうございます」


「結構」


ひとまず、航空艦隊に活躍の確証を与えると、神崎中佐はすぐに引き下がった。丸く収まって何よりである。


そして、東郷大将は、次の人物に声をかける。


「大和、草薙の剣についてだが、敵を沈めるには、どうすべきか、表示してくれ」


「了解しました」


大和が声を聞き取るや否や、モニターに、計算結果が表示される。現在確認されている全ての敵艦に対し、どこを撃てば沈むかが、事細かに示された。


「つまり、当てさえすれば、敵の戦闘指揮所は全て吹き飛ばせるということだ」


「なるほど、プラズマ砲弾とは、末恐ろしいですな。是非とも、大和にも装備して欲しかったです」


戦闘指揮所は、艦の火器管制を担う場所である。ここは、最も頑強に防御されている場所であり、ここを潰せば、ミサイルを実質的に使えなくなり、対空砲の運用も、手動で動かすしか無くなるのだ。そして、戦闘指揮所を潰せるならば、どこでも潰せる訳である。


ちなみに、主砲に関しては、艦橋から弾着観測を行うため、影響はない。とはいえ、ミサイルが主体の米軍からすると、被害は絶望的なものであろう。


近衛大佐は、これが欲しいようである。まあ、工事は全く間に合わないから、無理である。


「草薙の剣さえ当てれば、敵は次々に沈むのですね。ならば、勝機は十分にありますね」


東條中佐も、この威力はあてにしているようだ。うまく使えば、敵を一瞬にして壊滅させるのも、夢ではない。


「ただ、射程は短い。難しいな」


草薙の剣に射程は、精々3km程度である。これを如何に使うかが、東郷大将の腕の見せ所だろう。








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