ある男の記憶Ⅴ
サブストーリーです。久しぶりに登場の、ある男です。
さっき、入れるところを間違ってしまい、もう一回載せます。
時は経ち、人類は、屍人の脅威から解放されつつあった。混乱の中にあった人類は、文明の再興に乗り出した。
都市の城壁はもはや難攻不落となり、屍人の脅威は過ぎ去った。そして、人類は、地球の全陸地の数パーセント程度の領土の中で、国家の再興、再軍備を進めていた。
再軍備の中では、当然ながら、残された旧文明の兵器が重視された。その殆どが破壊されていたが、残された技術と兵器は、人類に計り知れない恩恵を与えた。
飛行戦艦大和も、その一つであった。
崩壊歴60年ごろには、人類は、新たな飛行戦艦を造れるほどにまで復興したが、なおも、大和の圧倒的な性能には追い付けてはいなかった。
「大和、これから、どうする?帝国軍に加われば、お前のことは隠さねばならない」
既に、生まれてから何年経ったかという意味なら、100歳を超えた男は、大和に話しかけた。
「私は、AI、機械に過ぎません。100年や200年、幾らでも待てますよ」
「そうか。ならば、この国を、守ってくれ。いつか来る、革命の時まで。そして、革命の心臓に」
「わかりました、マスター。私は、眠ることにしましょう」
男の言葉の意味を、大和はすぐに汲み取った。そして、彼女の沈黙は、来るべき時にまで続くだろう。
男は、大和と歩み続けた。
崩壊歴130年頃には、大日本帝国の軍備は、四個艦隊にまで拡大した。そして、大和は、第一艦隊の旗艦として、あらゆる脅威と戦い続けた。
幾度も大和の主は変わったが、男はひたすらに大和とともにあった。大和の正体と、安全を守るため、二人はひたすらに他人を装った。
そして、崩壊歴にして206年、新たに東郷五十六という男が東方艦隊総司令官となり、大和に着任してきた。今回も、男は、大和の中で大和の他人を装い続けた。
だが、男は、東郷大将に一抹の希望を抱いていた。彼ならば、世界を変えてくれるかもしれないと。
なかなか、色々と明らかになりましたな感じですね。