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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
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ウィニペグ撤退

展開が早いですね。

崩壊歴214年8月16日13:54


ウィニペグでは、逃げ延びた帝国軍が駐留している。東郷大将としては、ここで敵を迎え撃つつもりであった。しかし、突然の報によって、それも怪しくなっている。


「閣下、セントポールでは出撃の兆候があると、報告が来ています」


「そうか。ふむ、寡兵をもって大軍を打ち破るとは、軍人の夢ではあるがな」


現在、連合艦隊に残されたのは、空母5隻、戦艦12隻、巡洋艦17隻、駆逐艦36隻となった。しかし、これは、最低限動けるだけものでも計上した数である。実際は、この額面戦力より二割は弱体化しているだろう。


対する敵は、空母7隻、戦艦19隻、巡洋艦29隻、駆逐艦51隻は見積もってもいいだろう。実際は多少目減りするだろうが、これは、セントポールでの戦闘の生き残りの数である。


そして、戦力の補充もままならぬままに、米軍が動き出したとの報があったのだ。


「もはや、ここは捨てるしかあるまいか」


「そうですね、閣下。改めて、決戦を挑むべきです」


ウィニペグを防衛するのは、無謀というものである。このことには、神崎中佐や近衛大佐も賛成している。


ちなみにだが、航空艦隊は、比較的、損害が少ない。セントポールの戦いでは、日米両軍とも、戦闘攻撃機に役割を期待しなかったからである。戦闘攻撃機は、ひたすら牽制に注力していたのだ。


「全艦、撤収の準備をせよ。これより、サスカトゥーンにまで撤退する」


連合艦隊は、僅かに10日ほどウィニペグに滞在した後に、ウィニペグを去る。


出立の準備はすぐに整い、連合艦隊は、ウィニペグから飛びたった。米艦隊がウィニペグに攻めて来るのには間に合い、東郷大将は、胸を撫で下ろしている。


そして、現在、東郷大将は、本国と通信中である。


「山本中将、本土からの増援は、いつ届くんだ?」


「はい、そちらに向かうには、あと7日はかかります」


東郷大将が掛け合っているのは、陸軍参謀総長である山本中将だ。


「5日か。ということは、ああ、未だにアリューシャン列島付近ということか?」


「はい。第六艦隊は、未だに太平洋上です」


本国からの増援は、中央艦隊隷下の第六艦隊である。しかし、増援が決定されたのはおよそ1週間前で、未だに離陸していないというのは、些か遅すぎると思われた。


「第六艦隊は、即応態勢が整っているのではなかったのか?」


「それはそうですが、今回は、事情がありまして」


少し苛立つ東郷大将に、山本中将は、もったいぶったように言う。


「第六艦隊には、おまけで、『草薙の剣』をつけました」


「ほう、草薙の剣(砲弾型プラズマ砲)か。それはなかなかに、おまけどころではない大盤振る舞いだな」


草薙の剣とは、帝国が最近開発したプラズマ砲である。どうも、これを第六艦隊に積んでいたらしい。また、およそ、一隻に三門の割合で設置したらしい。


プラズマ砲とは、物質の状態の一つであるプラズマとなった物質を投射する砲である。しかし、プラズマは、空気に触れると即座に拡散してしまうため、そのまま撃っては全く使い物にならない。そこで、帝国軍は、プラズマを、磁界でプラズマを制御できる砲弾に詰めて射出しようと考え付き、それを実用化した訳である。


ただし、砲弾の稼働限界などから、射程が短いなどの問題点は残っている。


だが、強力な兵器であるのは間違いない。


「草薙の剣さえあれば、米艦隊の撃退は可能と考えますが、いかがでしょうか」


「うむ、結構。第六艦隊も合わせれば、相当な戦力となるだろう。勝って見せようじゃないか」


「ありがとうございます。草薙の剣、ないしプラズマ砲の運用は、世界初なので、データは取っておいて下さいね」


「了解だ」


「では、ご武運を」


「ああ、そちらも、壮健なれ」


通信は終わった。あと3日経てば、新たな兵器が届くのである。これならば、米艦隊の撃滅とて、夢ではない。





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