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終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
103/720

セントポール占領

セントポールばかりでタイトルのネタがない今日この頃。

米艦隊は日本軍からセントポールを奪還した。そして、それからおよそ10日が経った。


「それで、艦隊の修復は、どのくらい進んだんだ?」


「はい、現在、損傷した23隻のうち、15隻の応急修復は完了しました。残りの艦には、あと10日は必要でしょう」


「了解だ。まあ、大分、強行軍でここまで来たからな。仕方ないか」


チャールズ元帥は、アイオワで嘆いた。


トロントから出撃してこの方、まともな整備もしていないのだ。勿論、激しく傷んだ艦は置いてきているが、軽傷のものはそれを放置し、ひたすらに前進してきた。


結果として、大小あれども、全艦隊の1/4に匹敵する艦が損傷している。


セントポールとて、軍事都市ではない。十分なドックも確保できず、修復には時間がかかっていた。今のところ、半分は入渠待ち状態である。


だが、それはしばらく待てば解決される問題である。日本軍が襲ってくることもないだろうし、来たとしても、現状の戦力で十分に戦える。


問題は、このセントポールの都市である。


「しかし、インフラの復旧はまだ進まないのか」


チャールズ元帥は、苛立っている。問題は、奪還した後の都市の処遇である。


「はい。どこぞの()()が、インフラを破壊してくれたお陰で、市民の不満は依然として高いものです」


ハーバー中将は、もう言ってるのと同然のブラックジョークで応える。


セントポールから撤退する際、時間稼ぎにと、米軍は、都市のインフラを破壊していた。所謂焦土作戦というやちだ。実際に、五大湖で戦闘の準備を整える時間は取れた訳だが、こうして奪還した時には、これを裁可した自分を悔いていた。


市民の不満は、破壊者である米軍に向いていた。もちろん、レジスタンスができる程のものではないが、自国軍による解放の際にも、あまり喜ばれなかった。これは同時に、日本軍の軍政の善良さを物語っているだろう。


まあ、当の東郷大将は、皇軍として当然のこととして、善良な統治をしていただけだが。


「まあ、インフラの復旧は、お役所に任せるとしてだ。次の目的地は、どこにして、いつ攻めようか」


艦隊は、完全ではないものの、おおよそ機能している。これならば、再び都市の奪還に出るのも、不可能ではない。


チャールズ元帥は、戦略会議を開く。


「やはり、艦隊が完全充足になってから、では?」


「それでは、日本軍も完全充足になる可能性が高いでしょう」


「ならば、速攻で行こうか」


「ですが、では、日本軍の増援は、どこから湧いてると言うのですか?」


「別に、増援でなくとも、態勢は整うだろうな」


参謀は、大きく二つに割れている。現状でも即座に奪還に向かおうという派閥と、艦隊が五体満足になってから侵攻しようといえ派閥である。


因みに、ハーバー中将は速攻派である。また、目標は、セントポールの北西の都市、ウィニペグである。


判断基準としては、日本軍と米軍のどちらがより早く戦力を整えるか、という問題である。両軍とも、それなりの痛手を負っており、このまま戦うのは好ましくない。


日本軍の方が早いというのなら、今すぐにでも攻撃した方がいいだろう。


そして、日本軍は、北アメリカ大陸殆どの戦力を五大湖に投入し、それが打ちのめされた為、戦力を拡充する余裕はないと思われる、


しかし、新たな可能性が浮かんできた。


「大日本帝国の本国から、艦隊が送られてくる可能性があります。これを考慮した方がよいでしょう」


「本国か。だが、それでは、流石に兵力を投入しすぎではないのか?」


チャールズ元帥が抱くのは、ソビエト共和国やアラブ連合に対する防備が、それでは、あまりに薄くなるのではないか、という疑問である。


ハーバー中将は、応える。


「敵には、親衛隊というものがあります。通常、表には出てきませんが、相当な戦力を誇っていると思われ、これならば、他国への牽制にはなるでしょう」


「なるほど。確かに、使おうと思えば使えるな」


親衛隊とは、大日本帝国では「近衛師団」と呼ばれるものである。なお、近衛大佐とは全く関係ない。その名の通り、天皇並びに宮中の護衛に当たる部隊だが、その戦力は相当なものと見られている。


ルーズベルト大統領のせいで、米軍は手抜きもいいところだが、敵もそれは同じである。ある意味では、総力戦よりは、幾分ましかもしれないが。


「それを考慮すると、やはり、速攻が良いと、私は思うな」


チャールズ元帥のぼやきは、ぼやきであっても、幕僚に多大な影響力を持つ。参謀達は、すぐにそちらに傾いた。


「では、決まりだな。政府に報告し次第、直ちに準備にかかれ」


「承知しました」


米艦隊の反攻は、まだまだ終わらないのである。






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