表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末後記  作者: Takahiro
1-4_米軍の反撃
100/720

セントポール攻防戦Ⅲ

崩壊暦214年8月5日15:56


米艦隊は、敵の予想外の突撃の前に、統制を乱されていた。中央と左翼では、艦隊が敵の挟撃にあい、被害は甚大である。


しかし、未だに合計した戦力においては、米艦隊が勝っており、勝ち目がなくなったというには程遠い。


アイオワでは、チャールズ元帥が、艦隊の制御に努めている。しかし、それだけでは済ませない。彼は、大規模な反撃を画策しているのだ。


「右翼艦隊、敵に同じことをかましてやれ!敵の左翼へ突撃せよ!中央、左翼艦隊は、その場で持ちこたえ、防御に努めよ!」


日本艦隊は、米艦隊がその左翼を敵中に放っておくとは思わないはずだ。恐らくは、一度体勢を整えようと、全艦隊で集まったところを囲み込んで、殲滅するつもりだろう。米艦隊の右翼さえ叩けば、米艦隊の戦闘力は大きく削がれるからである。


しかし、チャールズ元帥は、そんな堅実な策は選ばない。


敵の罠に嵌まっても勝機は十分にあるが、チャールズ元帥は、より完璧に近い勝利を求めた。


「全艦怯むな!敵を貫け!」


右翼艦隊は、敵の左翼に対し、日本艦隊がやったように突撃を開始する。今度は、こちらのターンである。


味方の左翼は放置し、米艦隊は一直線に敵に向かっていく。


対艦ミサイルと、主砲は火を噴き、日本艦隊にじわじわと被害を与えていく。


敵の左翼は、こちらの元左翼への攻撃と、右翼艦隊の迎撃に追われ、有効な攻撃をできていない。確かに、米艦隊のそこらに砲弾は当たっているが、米艦隊の勢いを削ぐには至っていない。


「くっ、当たったか。進めるか、ハーバー中将?」


その時、アイオワにも敵の砲弾は飛来した。アイオワは上下に激しく揺れる。しかし、いくら艦か傾こうが、進めるものは進むのである。


「はい、問題ありません。対空砲が少々破損したのみです」


「よし、アイオワが止まっては示しがつかないからな。進め!」


既に、数隻の艦は大地に落ちていっている。しかし、艦隊の主力は、煙を上げているが、今なお健在である。米艦隊は、鬼神の如し勢いで、日本艦隊に迫る。


「最後に、全対艦ミサイルを斉射し、敵中に突撃!そのまま敵を貫け!」


両艦隊は、再び極近距離に迫る。米艦隊が対艦ミサイルを放つと、敵も同時に対艦ミサイルを放った。


そして、ついに両軍は激突する。


日本艦隊の間に米艦隊が入り込み、砲弾を四方八方に撒き散らし、敵に新たな混乱をもたらす。


米艦隊はところ構わず砲弾をぶちまけているが、敵は、味方に当たる可能性から、全力を出せないのだ。例え囲まれようが、米艦隊の優位は揺らがない。


日本艦隊の陣形は裂け、米艦隊はその裂け目を更に拡げていく。至近距離で撃ち込まれた砲弾は絶大な破壊力を発揮し、鉄屑が地上に次から次へと地上に落下していく。


「敵の背後にまで進め!敵の殲滅は目的ではない!」


チャールズ元帥は、混戦に入った米艦隊を整え始める。そもそも、目的は敵の背後に回り、敵を挟撃することである。


米艦隊は、敵を砲撃するや、次々と前進していく。日本艦隊は、完全に真っ二つに裂けた。


「単縦陣を再編!敵を砲撃しつつ、味方の救援に向かえ!」


米艦隊は、その背後で陣形を整え、裂けた敵に砲撃を開始した。同時に、現在、左翼と中央を攻撃している日本艦隊に向かって進路をとった。


「ニミッツ大将に、攻撃に移れと伝えてくれ。我々は敵を挟撃する」


チャールズ元帥と反対側では、ニミッツ大将率いる左翼と中央が、攻勢を強める。同時に、チャールズ元帥は、その敵の後ろをとる。


未だに数の優位は保たれている。チャールズ元帥は、勝利を確信した。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ