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終末後記  作者: Takahiro
プロローグ
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最終決戦

初投稿です。

文章は拙いですが、書きたいことは書いているつもりです。

昔から終末ものと軍記ものが好きで、今回はその二つをくっ付けてみました。

楽しんで頂けると光栄です。

崩壊暦-年-月-日 


「第二エンジン被弾!推進力が低下しています」


「第四エンジンの出力を下げろ!今、退くわけにはいかない!『革命』を終わらせるな!」


灰によどんだ空、屍人(生ける屍)に覆われた地上。砲火飛び交い、鉄の暴風が吹き荒れるその空を、五百と数十もの空飛ぶ方舟、飛行戦艦が飛び交う。


飛行戦艦とはおよそ、旧世界の空母に主砲、副砲をすげ、飛行エンジンを船底につけたような平たい艦である。空を統べるそれは、この時代の戦争の主力兵器だ。


その一角、飛行戦艦「大和」は決死の防空戦を続けている。


その艦長にして、艦隊司令官、東條少将は怒号を飛ばす。若いながらも歴戦の風格と気高さを纏う将軍だ。


「多少の損害は度外視だ。『カルタゴ』を失えば、我が軍に未来はない。何としても守り抜け!」


現在、東條少将の艦隊は敵艦隊の挟撃下にある。前方の艦隊は辛うじてカルタゴが抑えているが、後背の艦隊には手が回らず、東條少将率いる戦艦部隊が防衛戦を敢行している。


さて、この時代の戦法の基本はまずミサイルだ。東條少将の艦隊は敵の対艦ミサイル攻撃に対し、かつての米国空母の対空砲火もかくやあらん、という勢いの砲火で迎撃を続けている。


「『ハンニバル』、BE2空域に対空ミサイル斉射!」


再び東條少将は指示を飛ばす。


彼の艦隊は戦艦、巡洋艦、駆逐艦で以って二重の防衛戦を敷いている。統合型火器管制システムによってそれらは有機的に連携し、一種の芸術を作り出している。


されども、一部の敵ミサイルは防空網を抜け、後方の部隊やカルタゴそのものにも届いている。損害は軽微であれども、彼らのじり貧は必至。数の力は当代でも有効である。


そして2時間後。大和が艦橋、臨時艦隊指令部にて、東條少将とその幕臣は、この事態の打開策を考えあぐねていた。


「少将、それは危険です!イカロス(自在ヒト型戦闘攻撃機)はまだ実用にこぎ着けたばかりの新兵器。それにこの艦の命運をかけるなど…」


ある者は訴えた。


「そんなことは解っている!だが、我が軍の勝利にはこれしかないことはわかるだろう」 


艦橋は沈黙に包まれる。確かに、幾らリスクが高くとも、勝利を収めなければ意味がない。


「『大和』、お前はどう思う?」


「不可能ではないかと。それに、勝利の為の最上の策です。少将の作戦を私は信じますよ」


「他に代案のあるものは?」


誰も答えられなかった。


「危険は承知の上だ。だが、時間は有限である。即座に作戦を実行する。攻撃開始!」


『了解!』


大和は、敵航空艦隊に対し、全砲門を開き、進路を切り開きながら、突撃を仕掛ける。敵は突然の攻撃に混乱の渦中にあるようだ。


その攻撃は大和には当たらない。そして、大和は敵艦隊の鼻先にまで迫る。


「イカロス、出撃!」


東條の号令で、大和甲板に待機していたイカロス部隊が一斉に散開する。イカロスとは、旧世界の大衆が考えた「ロボット」に最も近い兵器である。二足歩行が可能であり、また、戦闘攻撃機のように空を飛ぶことも出来る。


もっとも、対空戦闘能力は戦闘攻撃機に遠く及ばないが、代わりに、敵艦の上に乗り移り、致命的攻撃を断続的に与えられる。


さて、大和から放たれたイカロス部隊は期待された通りの活躍を始めた。次々と敵艦に飛び乗り、その艦橋、主砲、主機を尽く破壊していく。


その姿は死神の如し。

 

「安芸、ケンタッキー、ビスマルク、沈黙」


周囲の敵戦艦は次々と戦闘能力を失っていく。東條少将の賭けは勝ちだったようだ。大和周辺の敵艦には、火薬を撃たれたのか、火がつき炎上し始めるもの、既に制御を失い、墜落しかけのものもある。


これで敵の対艦ミサイル攻撃は相当に低減された。


艦橋にはにわかに喜びの空気が漂う。だが、そんなことにうつつを抜かしてはいられない。なおも敵艦隊の多くは壮健である。既に、大和を撃滅せんと、近辺の敵戦艦が迫ってきている。


「下に逃げるぞ。高度を30程下げ、無力化した敵艦を盾にする」


大和は急降下を始め、「盾」の下で臨戦態勢をとる。


艦橋に緊張が走る。


「敵の攻撃艦は破壊した。すぐに我が艦隊が来援するだろう。それまで耐えきれば我々の勝利だ」


東條少将は少し落ち着いた口調で告げた。


果たして、大和は敵の猛攻から生き残れるか。それは神のみぞ知るところである。



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