~第二話~ 照る灯-ひかり-無き影
結局その日は夜遅くまでその店で過ごし、具体的に言うと閉店間際まで夕飯を食べにファミレスへ行った他はずっと本を立ち読みしながら居候していた。親になんて連絡入れなくてもどうせそんなもんだろうと黙認されているし、勝手知ったる息子とは僕の事か。
閉店時間になると流石に人通りは少なくなり若干の孤独感もあったが、とりあえずはもと来た道を引き返すことにする。
帰り道にあるのはさっき行ったファミレスや他のファストフード店、カジュアル系の衣服を取り揃えた服屋、営業中は派手なネオンで彩られるパチスロやゲーセン、入り口前の看板にデカデカと〈フリーのみ・テンゴ・半荘400円〉と書かれている雀荘。
その何もかもが、今は活気を失っているようだった。
この時間になると寒さは一層増し、まだ冬という定義でも良いというくらいに手はかじかみ、鼻は赤みを帯びる。コートの下は薄着だったのでそれがより感じられた。
月は無く、歩く僕を照らしているのは僅かな街灯ばかり。光は熱を出すけれども、この光はむしろ何か冷酷ささえ感じさせた。
俯く目に見えるのは冷え切った手と、足と、靴と、街灯が照らす無数の影。
その影に僕はちょっと違和感を覚えた。
刹那、
「うわっ!」
不気味なことに足を止めていたにも関わらず、その影は動き出したのだ。
うごめく、と表現しても過言ではない。二、三あった影全てが、皆一様に動き出した。
そして僕は気を失うと同時に、その闇に呑まれていった。




