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プロローグ
皆さんは、今いる世界とは別のもう一つの世界、「アナザーワールド」の存在を信じるだろうか。
「アナザーワールド」。和訳すれば、もう一つの世界だが、世界中で起こっている事象が、同じ日同じ時間に別次元で起こっている、という説である。すなわち、地球や動物、無論人間も二人いるのだ。この地球で人が同じ顔の人を見てしまえば、それはドッペルゲンガーだ。残念ながら見た人は御釈迦である。
しかしそんな世界があったとしても、さっき述べたように別の次元に存在しているため、ハネムーンで月へ行くはずが間違ってどっか違う遠い宇宙の果てへ吹っ飛ばされたとしてもあなたがもう一人の他人-あなた-に逢うことはないだろう。いや、宇宙の果てへ吹っ飛ばされることもまずあるまいが。
ともかく皆さんがそんな止事無い戯言-たわごと-に付き合ってくれるか知れぬが、その世界はある。
しかも割と近くにね。そう、例えば……、
あなたの影、とかにもね。