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青色の下で・・・神奈川陵應編  作者: オレッち
第壱章~新たな出会い~
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39話:副キャプテン

 始業式の翌日から早速練習が始まった。

 授業が終わりたっぷりと練習をした野球部員達。

 秀二は投げ込みはせず、フリーバッティングと守備練習でこの日の練習を終える。


「はい、お疲れさんやで♩」


 亜衣からタオルを受け取る秀二。

 秀二は「ありがと」と一言お礼を言いタオルで汗を拭う。


「秀二君、よう打つな〜」

「え?そうかな?」

「そうやで?公式戦でも凄い打っとったやんか〜」


 笑顔で話す亜衣に秀二も笑顔になり話をする。

 亜衣は秀二の笑顔を見ながら嬉しく感じていた。

 正直な事を言えば亜衣は秀二に対し好意を持っている。

 彼女自身は近くにいれればそれで満足なのだが、彼女の脳裏にはあの時の光景が蘇っていた。


(秀二君は、莉央那とはどうなんやろ・・・)


 彼女は秀二の胸に莉央那が顔を埋め泣いている所、そして秀二が彼女の頭を撫でながら抱きしめていた所を見ていたのだ。


(あの時の光景を見たら・・・どう見ても、アレやんか・・・二人は付き合ってるんやろか?)


 頭の中でグルグルとその考えが駆け巡る亜衣だが、余計なことは考えまいと頭をブンブンと振りながら頭の邪念を振り払った。


(アカン!余計な事考えたらアカン!今はマネージャーなんや!余計な事は考えないでサポートや!)

「ど、どうしたの?」

「う、ううん!なんでもないで!はいタオル回収するな!」


 慌てながらタオルを受け取り行ってしまう亜衣に秀二は首を傾げる。

 そんな事をしながら練習が終わり選手らは部室で着替えをし、すぐに食堂へと行き夕食を取る。

「そうだ仁さん。今日の夜練どうします?」

「あ、シュウ今日の夜練はワイら二年生は休みや」

「え?そうなんですか?」

「せやで。ちょっと色々話をしたいんや。すまんな」


 笑いながら答える栗原。

 夕食が終わり一年生達が各々自分の部屋に戻ったり室内練習場で自主トレをしに行ったりとする中、二年生全員が食堂に残った。


「さて、今回残ったのはやな。副キャプテンの選出や」

「おぉ副キャプテンか」


 栗原の話に頷きながら言う松村。

 主将は栗原に決まったが、その栗原をサポートする副主将の選任は新主将の元決めると言う決まりである。


「んで、仁はどう考えてる?」


 最初に口を開いたのは松村。

 栗原は少し間を開けるも、話し始める。


「まず、投手、内野、外野で3つのポジションごとに副主将を決めたいと思うんや。」

「おぉ、良いんじゃね?」

「俺も異議なし」


 周りの選手から同意を得ると、栗原は安心した表情を見せ続けて話を始める。


「まずは投手の方なんやけど、木内ええか?」

「え?投手じゃないのか?」

「捕手の木内の方が投手陣の手綱を引っ張れるからな。特に氏家とシュウはな」

「ま、まぁ俺は良いけど・・」

「俺も構わないぜ?俺は自分のピッチングで一杯一杯になりそうだからな」


 そう答える木内と氏家に栗原は笑顔で頷きお願いする。


「んで、内野は安斎頼むわ。一年からレギュラーで守備の中心のショートのお前なら任せられる」

「了解だよ仁」


 内野手の副主将には安斎が選ばれる。

 彼なら中心を任せても大丈夫と信じての選出である。


「んで、外野手なんやが。わいは谷本にお願いしよ思う」

「え?俺?良いのか?俺適当人間だぜ?マッさんとかで良いんじゃね?」

「いや、外野手の中で視野が一番広くて意外と試合全体が見えてるからな。」

「意外とは余計だろ」

「それに、マッさんやとゴリ押ししかせえへんしな」

「うっさいわ!ゴリ押し言うな!」


 食堂に笑い声が響く。

 こうして新チームとしての体制が整った形となる。

 栗原を中心にこの秋大会、そして来年の夏と戦う彼らには甲子園しか見ていない。


「さ、次は秋大会に向けてやな!ワイはビシビシ言ってくさかい。みんなも遠慮せずに言いや!!」

「じゃあ早速」

「ん?なんや?!」

「お前部屋汚すぎ」

「ん?!」

「エロ本散らばりすぎ」

「んん?!」

「一人部屋じゃねぇんだから綺麗にしろ」

「んんん!?」

「あと・・・」

「ちょ!ちょいちょい!部活の事ちゃうやん!」

「いや、部活よりもまずは私生活だろ。キャプテンになった自覚を持てよ」

「えぇ〜・・・」


 まさかの注文に驚き困惑する栗原。

 その後も他の選手からの私生活の注文が鳴り止まず、栗原が逃げるようにキレてこの場はお開きとなったのだった。


 その翌日に部活前に副キャプテンの発表が行われ任命された木内、安斎、谷本が選手らの前に出て挨拶を行い、拍手で受け入れられる。


「さぁ、秋大会に向けて!行くで!!」

『おぉ!!』


 キャプテン栗原の掛け声で選手全員が大きな声で言う。

 秋大会は9月入ってすぐに県大会が行われる。

 地区予選大会自体は8月の中旬から行われているが陵應は甲子園出場校のため県大会からの出場となっている。


 県大会を勝ち上がると次は関東大会。

 神奈川、山梨、栃木、茨城、千葉、群馬、埼玉の7県の上位2チーム(神奈川は3位まで)が出場し優勝を目指し春に行われる選抜大会への出場を目指す。


 3年生が引退したが主力のほとんどが2年生中心の為、戦力的には落ちるとは言えない陵應学園だが、何が起こるか分からないのは高校野球である。

 秋大会、そして関東大会に向けて陵應野球部は走り出す。



 次回へ続く。

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