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青色の下で・・・神奈川陵應編  作者: オレッち
第壱章~新たな出会い~
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3話:特別なんやで

入学式翌日から野球部は練習が始まる。

高校生として勉学には取り組むべしという事で練習は基本的に放課後からの開始となり、夏では約7時ごろまでグラウンドで練習をし夕食の後に室内練習場などを使い各自自主練。冬時間になると約6時ごろまで練習を行い夕食を取ったら室内で練習という形を取っている。

また土日は朝から練習を行い休みはほとんどないのが野球部である。


秀二らも授業が終わるとユニフォームへ着替えグラウンドへと向かった。

グラウンドではすでに何人かの一年生がグラウンドの整備をしていた。


「おい俺らもグラ整やんぞ」


と一人の生徒の言葉に秀二も小走りにグラウンドへ入りトンボを手に整備を行っていく。

しばらくすると明らかに体格が違う生徒がゾロゾロと歩いてきた。



「お。やってるやってる」


と声を出すのは短髪で日焼けなのか褐色に焼けた肌をしたキリッとした目つきをした選手がいた。

その後ろには強面で体格のいい選手と他の選手よりも背は少し低い選手など10人ほどの団体が近づいてくる。


「こんにちは~っす!!」

「こんにちは~っす!」


と交互に新入生が声を張り上げながらその集団に挨拶をする。

もしかしなくても彼らが上級生であることが分かり秀二らも手を止め挨拶をする。


「あぁ~アカンなぁこういう体育会系~ワイは全然慣れへんわ」


と最初に言葉を発した選手が苦笑いをしながら周りの選手に話すと他の選手も笑いながら何やら談笑する。

すると次々と上級生らしき選手らが集まるとあっという間に60人ほどの選手らが集まる。

すると一人の選手が新入生を見ながら話をする。


「よし一年生集合だ!!」


その一声でザッと一列に並ぶ新入生たち。

すると上級生から自己紹介をしろとの声がかかり端から自己紹介を始めていく。

真面目に言う者、笑いを取る者、笑いを取ろうとしてスベる者など様々な自己紹介が行われていく中、神坂の番になった。


「静岡シニアから来ました神坂です。ポジションはファーストです!」


と名前を言った途端に全員の目が彼に向けられた。

新入生だけではない、上級生も名前を知っている。


そして続いて秀二の番となりその瞬間も秀二に釘付けとなる。


「同じく静岡シニアから来ました村神です!ポジションはピッチャー、よろしくお願いします!」


と大きな声で自己紹介をする秀二に再び全員の視線が集まる。

中学№1になったエースと四番がこの陵應へ来た。

それだけで彼らにとっては大ニュースなのである。


その後も浦原や嶋本、晋太郎の自己紹介も終わるとキャプテンらしき選手が挨拶をする。



「今日からお前たちは陵應野球部の一員となった。ここでは実力がモノを言う。一日でも早くベンチ入り、そしてレギュラーを目指してほしい。一年生はアップのキャッチボール以外の一定期間はボール拾いがメインとなる。いいか?」


『はい!!』


と声を張り上げながら返事をする一年生たち。

そして最後にキャプテンが話を始めた。


「あ~、神坂と村神。」


「はい」

「はい!」


秀二と神坂の名前が呼ばれて二人同時に返事をする。

するとキャプテンの選手はニッと笑みを浮かべながら二人を指でチョイチョイと招くように話し出す。


「お前ら二人は今日から上で練習だ」


なんと秀二と神坂は他の一年生とは全く違う対応を見せたのだ。

ざわつく一年生であるが、大体の選手らは分かっていた。


(やっぱりこの二人か。格が違う)


と心の中で呟く選手ら。

すると、一人のなんとも言えない目つきの悪いデフォルメ顔の選手がザッと前に出てくると大きな声で話し出す。


「ちょいちょい待ってくださいよぉ!なんで二人だけなんすかぁ?自分だって全国で活躍した四番でエースなんすよ?自分こそソッチではないんですかぁ?」


と煽るように話すその選手にシンと静まり返る一年生。

すると先ほどの褐色肌の選手がその選手をキッと睨みつけながら威圧感あふれる口調で話す。


「何言うとるんや自分。特別なんはこの二人だけや!黙っとけやアホが!」


その言葉に完全に威圧された煽ってきた選手。

この褐色肌で関西弁を使う選手の名は栗原仁くりはら ひとし、二年生。


彼も秀二やと同じように一年生の初めから練習へと参加し、一年生の夏から正捕手の座を奪った選手である。


「わかったか、特別なんやで」



次回へ続く。

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