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2-5 ( 理工学部の大学院生の話 )




理工学部の大学院生の話




(これまできいてきた人の話では加害者の姿がそれぞれで違う姿に見えていたが、その理由は衣装の人の話にあった認識迷彩の羽衣にあることがわかった。加害者は認識迷彩の羽衣を着ており、それぞれ認識する主体が異なるためそれぞれで服が魔法使いのようだったり巫女服のようだったりと異なって認識されていた。

しかし加害者は、見た目がそれぞれで異なるだけではなく途中で人格が入れ替わり被害者を消し飛ばしている。これまでわかった情報だけではこのことに説明がつかない。これを知る為には恐らく認識迷彩の羽衣についてもう少し詳しく調べてみる必要がありそうだ。

なので認識迷彩の調査に入ろうと思うが、その前にもう少し代々木公園の噂に関して情報を集めておいた方がいいように感じた。いままでは現場に居合わせた人にだけ当たって来たが、一歩下がって間接的に関わった人の話も重要だろうと考えた。

それでまずは衣装の人の話に出て来た理工学部の先輩に話をきいた。

しかし、結論から言うなら理工学部の先輩の話からは必要な情報は得られなかった。これまでの話の細かい謎を解明することは出来たが、読み飛ばしたとしてもこれ以降のこの調査書の理解には何の影響も無いだろう。)





代々木公園の噂?

知らないなあ。あそこあんまり行かないんだよね。

代々木公園てどこだっけ?原宿?

原宿も行かないな。用ないし。

………、え?ああ、それのこと?2ちゃんねるで局所的に盛り上がってたあの電波?それだったらちょっと知ってる。

なんだっけな、たしか代々木公園の泉に、


”なんか投げ込むとなんか起こる”


だっけ?あの曖昧な表現の噂。

そんなんで誰が行くんだろうね。

……、うそ、本当に?行った奴いるんだ!すごいな、俺はそいつを尊敬するよ、ある意味。誰?誰?その行った奴、て。見かけるたびに心の中でばかにするからさ。

……、あー、あの人か。あの人なら行きかねない。どんな話も自分の目で見るまでは信じない、事の真偽は私が決める、とか言ってたからな。あ、違うわ。事の真偽は私だけが決められる、だった。

私が決める、じゃなくて、私だけが決められる。

だけ、て。

自分の目で見るまでは、ていうのがすごいんだよな。滅多に研究室からでないのにどうやって自分の目で確かめてんだろうね。2ちゃんで見てるだけな気もするけど。まあいいけどさ。

……、あの人が試して2ちゃんのあの電波が単なる電波じゃない、て証明された?

まあそうだろうなあ。

一定量の水が溜められた容器になんかを投げ込んだ場合は普通なんか起こるよなあ。水しぶきが起こるとかさ。

……、え?違うの?エクスカリバーを投げ込んだら金のエクスカリバーと銀のエクスカリバーになって返ってきた?

なにそれ、よくわかんないんだけど。

……、噂が変形してる?

どんなふうに?

………、へーそうなんだ、それは知らない。初めて聞いた。

絶対行かないと思うけど。

だって金とが銀なんて要らないし。そんなメジャーな元素の集合体もらったって使い道ないんだよ。金の化合物も銀の化合物も大体やり尽くされてるわけじゃん。

そんなところに俺が、ていうか誰でも何か新しいものを発見する余地はないだろうし、あったとしてもそんな太平洋にうっかり投げ込んだミリ単位のサイズのダイヤモンドをサルベージするのに匹敵するような労力がかかりそうなもんはやりたくないしな。

そういうのは隣の部屋の研究生に話してやった方が喜ぶと思うよ。

あそこ錬金術だから。あっちの研究室なんだけど。

あ、ちがった、あっちは絡繰り研か。

でも絡繰り(からくり)研に渡しても喜……喜ぶだろうけどあいつらは絶対換金するな。


絡繰り研て電子パーツに依存しないで純粋にパーツの構造のみで勝負する研究室でさ、この大学で唯一なんじゃないかな、パソコン使わない理工学部の研究室、て。

パソコン使わない、ていうと文系に近いとか思うかも知れないけど、力学計算はほんと厳密にやんなきゃいけないみたいだからある意味で一番理工学部ぽい研究室なんだよ。

パソコンだったら文系も使うし。

あ、でも絡繰り研も細かい演算にパソコン使うか。でも電子基盤は使わないみたいだけど。

ていうかたまに絡繰り研の実験みかけるんだけど、どうやってんのかさっぱりわかんないんだよな。

例えば、こうじき、ていう名前の機械でさ、どういう字を書くか知らないんだけど、とりあえず空間に於ける四次元移動が可能、とか言ってた。

三次元ならわかるんだけど、四次元目は何なんだろうな。

わかんないけど、まあそれとか、自動追尾型偵察機破壊球、とかいって偵察しているものをオートで探知して破壊する、てやつとか。人はちゃんと回避する安心設計!とか言ってた。

でもそれ、見せてもらったんだけどサッカーボールにしか見えなかったんだよな。

使い方もサッカーボールみたいなんだよ。

なんかの技名叫びながら蹴ると音声と衝撃の同時認識によってスイッチが入って偵察機を自動追尾し破壊するとか言ってたな。

蹴るときに叫ぶ技名は教えてくれなかったけど、ヒントだけくれたんだ。

なんかさ、


ボールは兵器!が合い言葉のあの漫画の技だ。


とかいってたんだけど、あの漫画て、どの漫画だよ。そんな漫画知らねっつの。

わかる?俺わかんないんだけど。

ボールは友達!が合い言葉の漫画だったらわかるけどさ。

でもその自動追尾型偵察機破壊球、パクられたらしいんだけどね。

まあパクられた、ていっても研究室から盗まれたとかじゃなくてさ、外に置いといたら持ってかれたとか言ってんの。

外に置いといたんだったら持ってかれても文句言えないと思うんだけどな。

なんか絡繰り研の友達が嘆いてたんだよ。


ちゃんと絡繰り研究室所有物、持出禁止、て書いたラベルを貼っといて四つぐらい外に並べておいたのに全部パクられた!糞!


て。

でも持ち出し禁止なら外に並べるなよ、て感じなんだが。

ていうか今気づいたんだけど、並べたのがそいつ、てことは持ち出したのもそいつなんだよな。原因つくったの自分じゃん。

しかも並べておいたのが理工学部主催の文化祭の日でさ、一般人も普通にいる日なんだ。

そんな日に持ち出し禁止とか書かれたものがあったらふつうパクるよな。サッカー好きな少年とかも来てただろうし。

あと他に絡繰り研がつくってたので俺が知ってるのって言ったら、人造人間かな。

三頭身のディフォルメみたいな奴でさ、頭は球体にちょんまげがついてて正宗装備してんの。なんだっけ、、名前は確か、ころ、すけ、、、殺助?だったっけな?あの殺助、超怖かったんだよな。

魔獣合成同好会てサークルがあってさ、そこの人が間違ってケルベロス召喚して大変だった事があるんだ。

……、うん、あの頭が三つある地獄の番犬。合成召喚すると「こんごともよろしく」とか言うやつ。

そのケルベロスが理工学部に逃げて来たんだけどさ、殺助がそのケルベルスを八つ裂きにしてたもん。

なんか、超究○神破斬!とか技名みたいなの叫んで流れるような動きでケルベロス斬り刻んでたんだよ。

ケルベロス、肉片になって蒸発してたもんな。

殺助って本当に絡繰り?中に人はいってない?ロボコ○プとかアイア○マンでもいいんだけど、ていうかなんで切り刻んだだけで蒸発するわけ?とか思ったんだけどさ、どうやって動いてんのか教えてくんないんだよ。

ケルベロスが蒸発してる横でどうやって動いてるのかきいたら、


そんな事は教えられないな、はははははは!


とか腰に手を当てて高らかに笑ってたんだけどそいつの膝、ガックガクに震えてたんだけどなんでなんだろうな。その直後に殺助は解体しちゃった、て言うしさ。

ていうかこうじきにしても自動追尾偵察機破壊球にしてもほんとに絡繰りか?

解体した殺助のパーツはちゃんと元通りに”寮のお風呂場に返しておいた”、とか言ってたんだけど、お風呂場のどのパーツなんだろ。お風呂場にそんな物騒なもんあったかな。

ていうか寮から持ってくるなよ、とか思うんだけど。





ていうかそれはいいとしてさ、ここの隣の研究室で、あっちの研究室が絡繰り研で、その反対のこっちが錬金術研なんだ。あいつらに金とが銀あげたら喜ぶんじゃないかな。

実習で金と銀つかいそうだし、実習費もすごそうだからな。

そう言えばあの人達、どうやって実習費調達してるんだろ。金持ちには見えないんだけどな。

いや違うか、錬金術だから金とか銀は用意するんじゃなくて錬成するんだっけ。水の上に立ったり光を放ったり海を割ったりできるんだったかな。あんまり興味ないんだけどさ。

錬金術、て理論はもうほとんど発見し尽くされてるらしいしね。そんなだから俺はあんまりやる気しないんだよ。

まあ、ほとんどイメージなんだけどな。本当のところは知らない。でもこういうのを決めるの、イメージに依存するからな。

絡繰り研だって今だったら、すごいとこだ、て知ってるけどイメージ的に面白くなさそうだったから行こうと思わなかったんだよな。

俺がこの研究室を志望したのだってイメージだし。

どんな研究をするかを決める段階で一番面白そうだったのがここだからさ。

……、え?この研究室は何、て、ドアのとこに刺さってる札みなかった?あ、そうか、教授の名前しか書いてないか、アレは。実は俺もよく見た事無いんだ、あの札。完全に単なる記号としてしか作用してない。じゃあわかんないよな、ごめん。

えっとここは不定空間の研究室で、空間の不連続性に於ける切断と接続の理論と実践を主として研究してる。

一言で言うと空間操作理論。知ってる?

……、うん、まあそうだろうね。

ここ数年で発展した分野みたいでさ、俺もこの大学に来てから知った。一般人で知ってる人は殆どいないだろうね。いたとしたら余程マニアックな人か、関係者の知り合いかだと思う。

空間操作理論にちょっと関係する力学で、思考流体力学ていうのがあって、これは比較的、一般人が知ってるものだと思うけど、高校で応用物理学を専攻した人じゃなきゃ聞いた事無いだろうしやっぱりマニアックな研究、てことには間違いない。

でもその分面白いんだ。

空間操作理論を使ったもので商品として出回ってるものは俺の知ってる範囲では一つもないから目新しいものばっかりだし、心理学みたいな言葉の定義と分類だけみたいなのとは違って理論が目で確認できるから自分がどこまで進んだかとか、どういう方向性で研究したら面白い理論的実践ができるか、てことが実感として確認できるんだ。

もちろんその分難しいんだけどね。

学部で空間物理学の講義があって、先生がキャラ濃いから面白い授業、てことで人気があるんだけど、ドはまりなんだ。

……、ドはまり、てわかんない?

んっと、ドはまり、ていうのは単位とるのが難しい講義の事を言うんだけどさ、その難しさは講義によって違うんだよ。

たとえば先生が滅多に来なくて代わりに助手が講義してるんだけど全然わかりやすくないのにテストだけは先生が来て激ムズの問題出す上に救済措置が全くない、とか、雑談が多いんだけど大方は先生が一人で笑ってるだけで全然面白くなくて、そのあまりのつまらなさに出席とる前に脱出する意欲を強く誘発するため単位取得がひどく困難、とか。あの授業は本当つまんなかったな。おもしろ半分で文学部の授業なんてとるんじゃなかった。キリスト教概論だっけ?同じ文学部でも申楽さるがくの授業は面白かったんだけどな。でてきた単語しかおぼえてないけど。序破急とか。

それはまあいいや。

他のドはまりだと、単純に授業内容が難しくてついて行ける人が殆どいない講義とか。

この場合は大体、先生に罪は無くて、逆に先生はわかりやすくて丁寧で、あの内容じゃなければドはまりというよりも楽勝科目の部類に入るんだけど内容が内容だからついて行けない人は自分でなんとかするしかない、ていうやつ。

今言った空間物理学がこれに該当するんだ。

他の授業全部切ってあの授業だけに集中したのに不可だった人もいたしな。いや、違うな。あの場合は明らかにあいつが悪いか。集中したとか言いながら授業中に麻雀いってたもんな。単位取れる筈が無い。

それで、そのドはまりの空間物理学はこの研究室に入るのに必須なんだ。授業内容が空間操作理論の基礎にもなってるからな。

俺は空間物理学の単位が取れたからこの研究室にはいったんだけど、評価がぎりぎりで、可、だったからついてくのが結構きつくてさ。

まえ思考流体力学を基礎とした実習があったんだけど、あのときもトチったんだよな。

ちょっと聞いてくれる?





まずその実習の一週間前なんだけど、先生が、


この一ヶ月の講義内容だが、理論の正しさに疑問があるため実践して検証しようと思う。


とか言い出したんだよ。

理論の正しさに疑問て何だよ。今はガイダンス段階だから既にわかっている事を実践を通して学んでいるんじゃなかったのか?とか思ったんだけど、あの先生に反論してもよくわからない理論で論破された上に国外退去命じられたりするから下手な事言えないんだよ。

実際に国外退去を命じられた奴いるし。まあそいつ普通に新宿に住んでるけどな、今でも。

そのときの論破の内容もやっぱりよくわからなくて、実験をやるには機材が足りない事をテキストに従って反論しただけなんだけど、論破に相対性理論持ち出してきたもんな、あの先生。黒板に数式をぎっしり書いて殆ど白くなってて、相対性理論の数式は多分合ってると思うんだけど、相対性理論なんてそれまでの講義に出てきた事が無くてしかも実験に全く関係ないのになんでそこで出てきたのか今になって考えるとよくわからないんだが、あのときは妙に説得力があったんだよな。

それでそいつさ、先生に宣告されてたんだ。


お前には国外退去を命ずる。今から24時間以内にオクラホマに移り住むのだ。


とかさ。

でもその論破された奴は今でも普通に研究室に来てるんだよな。オクラホマは?て感じなんだけど。要するに国外退去とかは無視していいんだけどそれでも反論するとめんどくさいからな。

まあそういうわけで突然実習することになって、材料を用意する事になったんだ。材料を用意する、て言っても大学側が用意してくれたから特に準備する事は無かったんだけどね。だから実習を始めた時点では材料に関しては何も問題なかったんだ。

始めた時点ではな。

ていうか理論の正しさに疑問があるから実地に検証する、て先生が言ってやる事になった実習だから、それは実習というよりも実験なんだよな。でも普通、研究室に入ったばっかりの院生つかってやるか?そんなの。そこがあの先生の面白いところなんだけどさ。

まあ実質的に実験でも、助手の人がガイダンスしてくれるからやる事は実習と変わんないんだけどね。


実習の内容なんだけどさ、純粋なドアの裏面に加工を施して不定平面を展開し、空間の連続性を変調して別の空間とつなげる、てやつでさ、一言で言うと、ドアを開けると別の場所に移動できる装置をつくる、ていうのだったんだ。

純粋のドア、ていうのは普通のドアとは違ってどこかへの入り口とか出口として機能してないドアの事で、ほら、普通はドア、て部屋の中と外とか建物の中と外をつなげる役割を果たしてるじゃん。その目的で存在してない、存在する事そのものが目的のドアのことで、だから、純粋なドア。イケヤとか行くとドアだけ売ってるじゃん。ああいうやつ。それを不連続空間同士の接続につかうんだ。純粋じゃないドアで不定平面処理されてたらトラップだからな。森ビルに入った筈なのに丸ビルにいる、みたいな。

それで、純粋なドアをつかって空間移動をするんだけど移動先はランダムに指定されるわけじゃなくて、ドアを開けた人の意思でコントロールできるんだ。

ドアノブが金属になってて、それに触れる事によって意思が思考流体を伝ってドアの裏面の不定平面を歪め、現在地と目的地の空間を接続する事ができるんだ。

先生はその装置の事を、どこへでもドアー、ていってたんだけど、みんな首捻ってたんだよな。


なんだよこの身も蓋も無いようなネーミング。


とか言いながら。

先生が言うには昔に会った事がある猫型ロボットが同じような装置を持ち歩いてて、どこへでもドアー、て呼んでたからこの装置は、どこへでもドアー、と名付けよう、てことらしいんだけど、名前、丸パクリかよ、て突っ込みたいんだよ。

同じような装置で同じような機能でも別の人がつくったんだったら別の構造してるだろうし、だったら別の名前つけた方がよくないか?とか思うんだけど、やっぱりそんなことをあの先生にいってもよくわからない論理で論破されるだけだから黙殺してるんだ。

それに先生が昔に会った事のある猫型ロボット、ていうのもおかしいんだよな。

その猫型ロボ、青くて二足歩行して人語をしゃべり更に時を止めるらしいんだけど、それ、本当に猫か?スタンドとかじゃなくて?まあやっぱり突っ込まないんだけど。


それで実習なんだけど助手の人のガイダンスもあったし、手順はわかりやすかったから大体うまくいったんだよ。

でも、もう少しで一通りのプロセスをこなせる、てところで部品が消えたんだ。

鍵穴の部分なんだけどさ、不定平面の仕上げ処理で順番通りに部品を組み合わせなくちゃならないんだ。その部品が一つ見つかんなくてさ、螺子とかだったらいいんだけど結構重要なパーツで、プログラム処理されてるんだ。

プログラム処理ていうのは、そうだな、たとえば磁石をつくるとき、金属になんかの処理するわけじゃん。そこら辺よく知らないけど。

そのプログラム版。

プログラムで空間変調のベクトルとか性質とかを指定して金属にその属性を焼き付ける、てやつで、それがプログラム処理。

部品は1グループに1セットずつ配られたんだけど、余りとか無いのね。無くしたら探さなきゃ行けないんだ。

助手の人は、無くしたら探して、どうしても見つからない場合は来て下さい、て言ってるんだけどさ、


無くした人は罰として校庭10周です。


とかいってるんだよ。

それ聞いたとき耳を疑ったね。

ここ確か理工学部だよな?理工学部大学院だよな?体育大とか、あるいはそれ系の部活じゃないよな?

て。

だから、まさか本気じゃないだろう、てみんな思ってて、別のグループが部品を無くしたみたいで助手の人に言いに行ったんだ。

そしたら、


では校庭10周してきて下さい。部品はその後です。


て言われてたんだ。

え、まじですか?て言ってたな、そいつ。

ていうか理工学部キャンパスに校庭なんてあったか?て思ったのか、質問してたんだ。

校庭なんて見たことありません、どこにあるんですか?てさ。

そしたら助手の人がさ、


仕方ないですね、ついて来て下さい。


とか言って黒板の横に行って、指で壁を叩きだしたんだ。

そこの教室の壁、木造でさ、指で叩いても軽い音がするだけなんだ。だからその動作は単なる苛立の表現で意味は無いんだろうな、と思ったら、いきなり軽快な電子音が鳴ったんだ。クイズ番組とかで早押しのときに叩いたときの音みたいなやつ。

え、なんで?何の音?とか思ってたら助手が指で叩いてた壁の横あたりの、殆ど窓の近くなんだけど、そこの壁が重そうな音を立てて縦に開きだしたんだよ。

あの辺にスイッチでもあったのか?て思ったけどそれは知らない。

それで助手の人は、こっちです、ついてきて下さい、て言ってその中に入って行ったんだ。その中は階段らしくて秘密組織みたいに地下に続いてるっぽかった。

あれは驚いたね。

そのとき俺はそのとき同じグループの別の人が作業してて、たまたま手が空いてたから見てたんだけど他の人は黙々と作業に没頭してみてなかったんだ。

でも壁が重い金属音たてて開いたとき、全員振り返ったからね。

部品を無くしたグループの人を含めて全員、愕然としてた。

心の声きこえたもん。


校庭なんてあったんだな。でもなんで、そんな秘密組織みたいな場所に?


てさ。

しかも木造の筈なのにどこから金属音?内側から?て、色々疑問はあったけどめんどくさいから質問しなかったんだ。

先生のよくわからない論理をさける為というか、先生はそのときいなかったんだよ。なんかディスミーシー行くとか言ってたな。居ろよ、て感じだったんだけど。

それで研究生以外には助手だけだったんだけど、詳しくは言わないけど助手は助手でめんどくさいからね。

しかも地下に降りて行ったからそのときはいなかったし。

で、助手が地下に降りて行くとき、階段をおりる音が金属音で聞こえたんだ。

デパートの非常階段とかあるじゃん、ああいう金属製のスケルトン構造の階段をおりるときの固い音。

そこって狭い場所みたいでさ、階段を下りる時の音が反響して聞こえてくるからへんな威圧感があるんだよ。

それが突然止まってさ、どうしたのかと思ったら部品を無くしたグループの人たちが思い出したように慌てて助手の後について階段を下りてったんだ。

ついてくるのを待ってたみたいだな。1グループ5人だったから5人全員で階段に駆け込んで階段を下りる音が一気に増えてけたたましく鳴ったんだ。

急いで追いかけていったから追いついた後はゆっくり歩き出すだろうし、けたたましさは収まるだろうと思ってたら収まらずに、そのけたたましいまま階段を多人数で下りる音が遠ざかって、そのまま聞こえなくなったんだ。

あのけたたましい音が聞こえなくなるぐらい降りてく、てどんだけ深いとこに降りてくんだよ、て軽く青ざめたな。

あとでその部品を無くしたグループのやつに聞いたんだけど、そのまま5分ぐらい螺旋階段を降りたとか言ってた。そこの階段は螺旋階段だったらしいんだ、ぎりぎり擦れ違う事ができるぐらいの幅で踊り場が全くなくて完全に建築法を無視してるっぽい螺旋階段。

その螺旋階段を降り切るのに5分て相当深い距離だからそれを走り降りただけでもかなり疲れると思うんだけど、降りた先がやけにだだっぴろかったらしいんだ。

なにここ?もしかしてネルヴ?使途でも迎撃するつもり?てぐらいの広さの空間にナスカの地上絵みたいな細い線が楕円形に描かれてて、


ここが校庭ですから10周がんばって下さい。


て助手の人に言われたとか言ってた。

もちろん走る前から全員くじけてて、そこのグループ一人女子がいたんだけど、階段を降りた時点で既に泣いてたらしくてさ。

それを助手の人がみて溜め息まじりに、


仕方ないですね、1周でいいです、終わったら上がってきて下さい。ロックは1周走れば解除されますから。


とか言ったらしいの。

ロック、て何?て思ってきこうとしたらしいんだけど、その前に助手が階段に戻って階段の鉄骨の何も無い部分を指で叩いたと思ったら階段の入り口にシャッターが下り始めて、グループ全員が愕然としてるなか、


それじゃ、健闘を祈ります。


とかいってそのままゆっくりと階段を昇って行ったらしいんだ。

健闘、て失敗する可能性のあるものにしか使わない言葉だよな、失敗する可能性、あるわけ?とか思ったけど校庭1周する以外に選択肢はなさそうだから仕方ないから走ったらしいんだ。なんかその校庭、体感的に20キロぐらいあった、て言ってた。

ネルヴはそんなに狭くないと思うけど校庭というにはおかしい広さだよな。

実習中に帰ってこなかったからな、そのグループ。

一応生還したけど。そのときにどこへでもドアーがあれば、て嘆いてた。

実習のときにはそんな事知らなかったんだけど、助手だけが平然と教室に戻ってきたのを見て慄然としたんだ。

そのとき助手に眼鏡が鋭く光ってさ。あの光った眼鏡、怖かったな。


何が起こってるのは知らないが、部品だけは絶対になくしてはならない。


て肝に銘じたからな。

そしたら無くしちゃってさ、グループの皆からものすごい形相で睨まれた。

肝に銘じたのにな。

きかなくてもわかったからね、みんなの心の声。


こ、い、つ、なんてことしてくれやがる……、


て顔で言ってた。

俺を含めてものすごい汗かいたよ。

他のグループの人はそのときの汗の量を見て、このグループだけなんか変な空調のかかり方してるんじゃないか、て勘ぐってた。

汗で床が水たまりみたいになってたからな。

それでさ、部品を無くして嫌な汗かきながら、思わず白衣のポケットに手を突っ込んだんだ。

言ってなかったけど実習は白衣を着てやるんだよ。自分用の白衣があってさ。白衣のポケット、て俺はあんまり使わなくて、通常はファッションとしてしか機能してないからいつもは空っぽなんだけど、そのときはたまたま空っぽじゃなかったんだ。

さっきも言ったけど、この研究室てレベル高いんだ。

俺はここに入るための必須科目の評価が”可”で、ぎりぎり単位取れたぐらいだったから大変でさ、ついてくために家でも予習とか復習とかしてるんだ。でもついてくだけだとこの研究室に入った意味があんまりないじゃん。それだと教えてもらった事しかできないし。

だから独自の研究をしたいと思っててさ、予習と復習以外にも習ったところからの応用でできる装置の研究をしてて、その実験のちょっと前に試作品が一つできたところだったんだよ。それがたまたまそのときの実習内容と似てて、プログラム処理された金属部品だったんだよ。

それを先生に見てもらおうと思って鞄に入れようとしたら次の日の昼飯の菓子パンがぎっしり詰まってて入んなくてさ、仕方ないから白衣のポケットに入れたんだ。実習は白衣着てやるし、実習が終わった後にでも見せようと思ってさ。

まあ先生はディスミーシーに行っちゃっていなかったんだけど。

一人で。

一人でディスミーシーて。

実習が始まった時点では先生がいなくて残念だったんだけど、部品を無くしたときはその自作パーツを持ってきておいてよかった、て思ったね。

プログラム処理された部品て大体同じような形になるんだ、処理の行程で使う電子器具の大きさの関係でそうなるんだけど。

だから俺がつくったパーツと無くしたパーツはサイズ的に互換可能で、グループの人たちにそれを見せながら説明して、これで代用するのはどうだろうか、て提案したら全員が渋い顔をしながら、危険だが校庭10周よりはいいだろう、てことで同意したんだ。

パーツを無くした事を申請したグループは1周で済んだけど、そのときはそんな事知らなかったし、まずグループ内に女子がいないから俺らの場合は普通に10周させられるだろうし。それと校庭が20キロくらいあることは知らなかったけど、普通の校庭でも10周はかなり疲れるしな。無くさないように慎重になる条件としては十分だろ。

そういえば走ってるときに白骨みたいなのが転がってたとか言ってたな。

怖いから標本と見なして無視したらしいけど。

実験室だしな。白骨の標本くらいあるだろ、標本じゃなかったら何だ?とか思いきかせながら。


そんなわけで俺の自作パーツを組み込んでみたんだ。

ちゃんとサイズは互換してた。ああいうのって大体サイズ同じだからな。

でも問題はサイズ的な互換性じゃなくて機能的な互換性があるかどうかだけど、そんなことよりそのときはとりあえず完成しさえすればよかったんだよ。完成してもすぐに装置は機能し始めるわけじゃなくて、プログラム処理された部品をつかってるから馴染むまで24時間おいておく必要があったんだよ。

だから助手は、来週までに機能を検証してレポートを提出して下さい、て言ってその日の実習は終わったんだ。

他のグループは、校庭10周のグループ以外まともに完成したみたいで、話を聞いてるとちゃんと、どこへでもドアーとして機能してるみたいだった。中には不定空間の接続の賞味期限が切れて単なる純粋なドアに戻ったところもあったみたいだけど、そういうのはレポートとしてまとめればいいだけだから特に問題はないんだ。それを先生が確認できればいいから。失敗は失敗で貴重なデータだからな。

でも俺の場合はその、先生が確認する、ていうのが問題だったんだよ。俺の自作パーツつかってるからな。

奇跡的に同じ機能を発揮してくれればいいんだけどあんまり期待できないんだ。部品なくした事がばれたらあの助手の事だから改めて校庭10周させかねない。意図的に俺のパーツをつかった事にすれば免れるかも知れないけど、その場合でも俺のパーツの場合の機能を検証する必要がある。

先生が試してみて全然違う機能だった、てなったらまずいからな。あの先生の事だから嫌がらせ以上の機能を持ってない課題とかたっぷりだすに違いないし。

でも装置を実際に試すにしても、不定空間だからな、何が起こるかわからない。だから運良く次の授業までに不定空間の賞味期限が切れてくれればよかったんだけど無理ぽかったんだよ。

賞味期限切れを期待して2、3日待ってみたんだけど、ちょっと見る限り、賞味期限が切れる気配はなくてさ。

さんざん迷ったあげく、グループで集まって、じゃんけんする事にしたんだ。

じゃんけんで負けた人が実践。


で俺が負けたんだ。まさか俺以外全員ぱーをだすなんてな。

皆は、


じゃ、冥福を祈る!


て言って去っていったんだ。

冥福を祈る、て言った?幸運を祈るとかじゃなくて?死ぬの前提?これってもしかして人柱?とか思ったんだけどじゃんけんで負けたからな、仕方ない。

今から考えると、あんな命がけのじゃんけん色々おかしいけど、今そんなこと言ってもな。

で、やっぱり俺はそれを実践したくなかったんだよ。自作パーツを組み込んだどこへでもドアーを前に3秒近く必死に悩んで決めたんだ。


後輩に任せよう!


て。

幸いこういうの好きな奴いるし。

それで電話したらすぐ掴まってさ、交渉した結果、すぐ来てくれる、てことになったんだ。たまたま時間空いてたみたいでさ。何故かうまいぼう一箱おごらされる事になったんだけど。


あのどこへでもドアーは実験準備室にあってさ、そこにきてもらって早速試してもらったんだ。

どこへでもドアーは正常に動作すると下からワイプするように消えるんだけど、後輩がどこへでもドアーを開けて向こう側いって閉じたら意外な事にちゃんとドアが消えたんだよ。

すげえ、まさかの成功か?て思って、戻ってくるのを待ったんだ。すぐ戻ってきてとは言っておいたから。

でも戻ってこなかったんだよ。

ばっくれたか?て思ったんだけど、その後輩はばっくれるにしても、うまいぼうを受け取ってからにするような性格だから、うまいぼうを放棄してまでばっくれる筈が無いんだ。そもそもばっくれる意味が無いし。

とするとやはり、失敗したか、という結論に至ったんだよ。

どこへでもドアーも後輩も戻ってこない、冥福を祈ろう、て。

でもそれで実験結果は出たからレポートは書けるし、校庭10周は避ける事ができるな、て思ったんだ。





それでその二日後なんだけど、実験準備室でちょっと調べものをしてたんだ。

あそこにある資料、少ないけど使えるのばっかだし実験器具もあるから簡単な実験もできるし。

それで、そのとき思いついた事があって、実験してみようと棚から薬品を出そうとしてたんだ。

薬品、て言っても何種類かはあるし、目的のものが分かりやすい場所にあるわけじゃないから棚の中を見て探してたんだ。

そしたらいきなりうしろから肩たたかれてさ、ああ俺以外にも誰か来たか、とか思って振り返ったら消えた後輩だったんだよ。

びびったね。

驚きのあまり思わず一歩おもいっきり退いて棚にぶつかったからな。棚の中で薬品が倒れて中身がこぼれて大変だった。ていうか未だに大変なんだけど。その棚の中にはちょっと前に先生が仕入れた薬品が入っててさ、中身がこぼれてたんだよ。見た目からしてヤバい瓶に入ってるんだけどさ、中身もヤバそうだったんだ。紫色の濃い液体で、黄色い煙が出てたからな。

今も出てるけど。

確か、アンブ○ラ、て名前の会社から仕入れた薬で、間違って仕入れたから今度返品するまで、絶対触るな、とか言ってたんだよな。髑髏マークのシールまで貼ってさ。

あの先生、命令する事はあっても命令形で話す事は滅多にないんだ。その先生が命令形の口調を使う、てことはよっぽどだから触んなかったんだけど俺が倒しちゃったんだよな。

あの棚に密閉性があってよかった、とか先生は言ってたけど、どんな効用があるんだろうな、あの薬品。今度、棚ごと捨てに行く、て言ってたから知る機会ないんだけど。モルドールに捨てにいく、とか言ってたからよっぽどなんだろうな。

あ、言っちゃ駄目ね、これ。実は俺が倒した事は誰にも言ってないから。

まあ後輩がいきなり出てきて棚がそんなんなるぐらいの衝撃を受けたんだけど、あれは驚いたね。どこへでもドアーとともに消えて戻ってこないと思ってた後輩がいつの間にか背後にいたんだからな。

その後輩の背後にどこへでもドアーがあったから、どこへでもドアーで戻ってきた事は間違いない。

後輩は後輩で、なんで俺がそんなに驚いているのかがわからないみたいだったけど適当にごまかしておいた。

まさか、実験が失敗したから戻ってくるとは思ってなかった、なんて言えないからな。

それと後輩、平然としてたんだよ。

二日間どこへでもドアー使って飛び回ってたのかと思ったんだけど、なんか違うっぽかったんだ。

服も二日前と同じだし、そのわりに疲れてるようにも見えなかったし、二日シャワー浴びてなかったようには見えないし。

二日間遊び回るにしても家には帰ると思うし、帰ったらシャワーも浴びて着替えるだろうし。

そういう風には見えなくて、二日前に消えたときから何かが変わったようには見えなかったんだ。たとえば、友達の家で遊んでてちょっと一人でコンビニに買い物にいって戻ってきた感じ。

そのときはそれがどういう事なのかわかんなかったんだけど、後輩が手に持ってるものを見せびらかしてきたときは一瞬その混乱が飛んで、別の混乱が襲ってきたんだよ。

後輩が持ってるのはなんか汚い服だったんだよな。

それも複数。

ネット通販で見た事がある「たびびとのふく」があんな感じだったと思うけど、後輩が持ってたのはそういうのよりも汚れててさ、縫い目とか粗くてビンテージ感ものすごい出てるんだ。ていうかビンテージ感、出過ぎてたんだ。

もし今それと同じものをつくろうとしたら結構大変なんだろうな、て一瞬思ったけどそれよりも、そんなに大量の「たびびとのふく」どうするんだ?て思ってさ。それは後輩も考えてなかったみたいで、どうしよう、とか言ってた。





それで後輩が帰った後、どこへでもドアーを見てみたんだ。

ドアノブで意思をスキャンするから素手で触らないように、袖ごしにつかんで開けてみたのね。

そうすれば意志をスキャンされる事もなく、直前につながった空間をリピートできるからさ。

後輩は、ういろうを食べたいから大阪、とか言ってたから大阪につながってる筈だと思ったんだ。ういろうだったら名古屋だと思うんだけど。

それで開けてみてみたらやけに広々としててさ、ビルとか見えないんだよ。

絶対、大阪じゃないんだ。

なんか室町っぽかったんだ。

結構前に竹橋で大江戸の風俗展ていうのがやっててさ、行ったんだけど隅に室町コーナーがあって室町時代の町並みがミニチュアで再現されてたんだ。

そのとき脳内で、ミニチュアを実際に歩いたらどんな感じかを想像してたんだけど、そのイメージと微妙に似てたんだよ、どこへでもドアーの向こう側。2パーセントぐらい?ほんとに微妙にしか似てなかったんだけど。

まあ要するに妄想に近いから反射的に思いついたイメージは振り払って周りを見てみたんだけどほんとに何も無かったんだよな。

ドアの近くになんかふんどしの男が五人くらい倒れてたんだけど、それくらい。

で閉めて、あれはどこなんだろうな、て思ってたらドアノブの近くの、鍵の部分がなんか赤く光ってんの。

俺の自作パーツの部分なんだけど。

そこにデジタルな文字が浮かんでてさ、1400、とか書いてあんのね。

何の数字?とか思ったんだけど、アレはもしかして西暦の事なんじゃねえの?て思いついたんだ。

西暦1400年ていったら室町時代じゃん。

地理的にどこにつながってるかはわかんないけど、あれが室町時代だとしたらあの広々とした景色は納得がいくんだ。

朝廷はきらびやかな生活してても庶民の生活はあんな感じ、とか大江戸の風俗展で書いてあったからな。

後輩はどこへでもドアーで二日前から何故か室町時代に転移して、その室町時代から今日に転移したとしたら後輩があんなだったのも納得がいく。

それなら俺にとっては二日でも後輩にとっては5分ぐらい、てことになるし。

だとしたら俺のどこへでもドアーは空間だけじゃなくて時間も飛び越えた事になるな、てさ、そう思ったら鳥肌が立った。


俺すげえ!


て。

それに気づいてちょっと興奮しちゃってさ、色々考えたよ。

空間接続は成功してるかどうかわからないけど時間接続まで果たしてるのは新しい技術じゃん、あとは空間接続と時間接続の精度を詰めて行けば、とか。





授業のとき先生にそれを言ったら褒めてくれて、どうしてそうなったかを訊いてきたんだ。

実習中に部品を無くして代わりに俺の自作パーツを組み込んだんです、て言ったら先生が、あとでその自作パーツについてきかせてくれ、て言ったんだ。

でさ、直後にその横から助手が、


部品、失くしたんですね?


て言ってきたんだ。その顔がなんかうれしそうだったんだよな。

嫌な予感がしたんだよな。


そして的中したんだ。

言わなくてもわかるだろ?

校庭10周させられた。

何故か俺だけ。

なんで俺だけ?










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