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余談1 ( ある王国の大臣による公式声明 )




ある王国の大臣による公式声明



数年前のパレードの最中に泣きながら失踪した国王の足取りはある程度の痕跡は残っていたものの依然掴めない。ある大学の理工学部大学院錬金術研究室に国王が潜伏していた事は二週間前に述べた通りだ。2週間前の声明の発表直後に遣いをやったのだがそのときには既にそこに国王は居なかった。国王は潜伏中にアルバイトを始めたようだったが、そのアルバイトの最中に一度あの世に送られたようなのだ。あの世に送られたという事は死んだと思う者もいるだろうが残念ながらそれは違う。もし国王が死んだのであれば新しい国王を立てることができるが、あろう事かあの男はこの世に戻り、今も生きている。ただ、今の国王には首から上が無い。首から上は無いようであるからこれを妖怪と呼ぶ事も可能であろう。だがどのような形であろうとも国王は生きている。国法にもある通り、どのようなかたちであっても現国王が生きているからには新しい国王を立てる事はできない。国法は不可変ではないが、国法を変える権限は国王にしか無い。国法は国璽こくじにかけて変更されるが国璽に触れることが出来るのは国王だけだからだ。それに諸君も知っての通り、国策の多くは国王がいなくては成り立たない。残念ながらあの国王は非常に有能だ。だが性格に大きな欠陥がある事は周知の事実であろう。現在直面している国王の失踪はその欠陥の現れだ。そして奴が如何に有能であろうとも居ないのであればその力をあらわす事はできない。

そこで大臣である私は次のような提案をする。



1、国王を暗殺して新国王を起てる



2、国王を発見、捕縛して連れ戻す



3、国王の影武者を立て、摂関政治を執り行う



まず3からいこう。これには大きな問題がある。国王には影武者がいないという事だ。国王が命を狙われる様ないわれは無く、命を狙われたとしてもあの男の事だ、曲者くせものを自ら返り討ちにする事であろう。腕試しに国王に闘いを挑む輩も頻繁に現れるほどだ。おかげで本来国王の命を護衛する役割を持つ筈の近衛兵士団の出番は無く、いまや近衛兵士団は自らの身体を鍛える事そのものに歓びをおぼえるナルシストの集団であるというゴシップが事実となっている。恐らく影武者を立てれば、それを国王と勘違いした刺客にぼこぼこにされるであろう。そのような役が勤まるのは残念ながら国王自身以外にはない。

次に、2、といきたいところだがその前に1についてだ。これには大きな困難がつきまとう。国王を暗殺する為には国王の居場所がわからなければならない。その上、返り討ちにされる事無く国王を血に染める事の出来る腕を持つ物でなければ成し得ない。そのような者はこの国には居ないように思える。誰でも構わぬ、国王を暗殺できる腕を持つ物は居ないか。知り合いにそのような物が居るのでも構わない。

さて、2だ。これは最も難しいように思う。先ず、1と同様に国王の居場所がわからなくてはならない。そして、返り討ちにされる事も殺害する事も無く国王を捕縛する事の出来る腕を持つのでなくてはならない。これは3つの選択肢の中で最も難しい。殺すよりも捕らえる方がより大きな力が必要だからだ。これも2と同じように腕に覚えのあるものをつのる。

これで3つの選択しすべてを見たわけだが、実はもう一つある。



4、国王を見つけ、説得し王座に帰り着いてもらう



つまり現在、こちらでとっている手段だ。が、首尾がよくないのは既に述べた通り。居場所を捕捉して向かえばすでに姿は無く、富士急ハイランドで国王と思しき人物を確認したという情報が風の噂も同然の様に聞こえたが手掛りというには程遠い。国王を何らかのえさおびき出すという手もあるが、あの勘のいい男が易々とそのような罠に引っかかるとも思えない。

誰でも構わぬ、この4つの選択肢のうち、一つでも実行できる物は居ないだろうか。そうでなければ、



5、国王が失踪に飽きて帰ってくるのを待つ



という最悪の選択肢をとる事になる。そうなれば国王の放恣ほうしは更に手を付けられない物となるだろう。これだけは避けたいがむを得ないかも知れぬ。

事は急を要する。繰り返し募る。1から4までの選択肢をとる事のできる者は居ないか。褒美は思いのままだ。










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