2中【ユウヒノサンカクカンケイ】
……………風邪かもしれん。
「何だこの音?」
夕日が落ちかけている綺麗な空。
何かが何かを貫く音が響いている。
その音は今の空によくあっていた。
“パンーー”
どこから聞こえるのかと耳をそばだててみるとどうやらクラブハウスの裏から聞こえているらしくここからでは音しか聞こえない。
「いってみよう」
一体何をしているのだろうか?と自分はただの興味本位でその足を向けた。
そして着いたそこには一人、凛と佇んでいた。
その一人は、長い黒髪、小さめの身長、白い着物のようなものを羽織っておりその華奢な手には彼女の身長を上回る長さの弓が構えられていた。
その弓が狙う先には白い円の中に黒い円がある的だった。
“パンーー”
そして彼女が放った矢はその黒い中心を見事に貫いていた。
その姿は綺麗で自分はついつい見とれてしまい、
「すげぇ」
と、ついついそうつぶやいてしまっていた。
「……あ」
やばいばれた。
しかし、気付いた時にはすでに遅く彼女と目はぴったりと揃ってしまった。
気が付いた彼女は、そそくさといった感じで弓を置き右手の手袋のようなものを外しこちらに歩いてきた。
あ、やばいかも。そう感じたときにはすでに遅い事が多い、まぁ、その状態ですけど………。
「すいません、もしかして弓道部の方ですか?」
彼女は見た目通り透き通った声をしていた。
「え、いや……」
そんなことを言われても……ってここは弓道部だったんだ。
この学校弓道部あったんだ。
「すいません、空いていたから道場借りてしまっていました。」
彼女はぺこりと頭をさげた。
彼女はさっきより小さく感じ触れてしまうと砕けてしまいそうだと思った。
しかもお辞儀をした瞬間にはらりと落ちた髪がなんかいいな。
「いえ、あの……」
「しかも弓まで借りてしまってすいません、久しぶりだったから弓を引きたかったんです」
うう、そのまま上目遣いで見ないでほしい照れる。
というか彼女は一体何の話をしているんだっけ?
「その……」
というかなんでこんなに謝られているんだ?
どうして?
あぁ意味わからんパニックだぁーー。
「しかも調子乗って的まで借りてしまって、後で貼り直しておきますから………」
彼女はこちらに有無を言わせず連続して言葉を飛ばしてくる。
そんな現状にいつの間にか圧倒されてしまった自分は話してくる内容がわからなかったせいなのもあるがただただ「……………………」と無言の応答をするしかない現状になってしまった。
「で、弓具どんな感じだった?」
「あ、はいきちんと整備されていてとっても使いやすかったです、握りもしっかりしていましたし蔓も綺麗でしたし」
「そうかそうか、それは良かった」
あはは。とそんな風に後ろからの質問に彼女は何気なく話していたが……………。
一体誰なんだろうか?もしかして知り合いなのだろうか?
なんて思っていると
「ところで君たちは誰でしょうかね?」
「「えっと」」
気がつくと二人揃ってそう返事していた。
なんだこの人急に背後に現れて………。
この人危険人物なのではないだろうか?
と背後を振り返ると思った所に思ったものはなかった、人がいなかったと言った方がいいと思うが………。
「こっちだ」
先ほど後ろからの聞こえたから背後を向いたのだが背後からまた声がしたのではんしゃてきに首だけを向けてみると
「むぐっ!?」
と声が漏れしまった。
一体何をされたかというとかんたんに言ってしまえば肩を叩いて振り向いた人のほっぺに指先を突き刺すアレ(・・)だ。
「ぶははははっ引っかかってやんのー」
と目の前で顔を歪め笑っている人が一人。
「……ぷぷ」
そして奥でそれを見て笑っている人が一人。
「ん!?」
二人に現在進行形で笑われている人が一人。
という変な三角関係ができてしまっていた。
完全にとばっちりを全面に受けてしまった形である。
次の3中はとりあえず自己紹介から始めますかね。
ではノシ