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桜の蕾《完結》  作者: アレン
プロローグ
3/99

3.お誘い

「ねぇ何かみんなテンション低い気がするんだけど何で?」



周りを見ると修学旅行だというのにみんな凄く暗い。



「いやさ、だって高校生にもなって修学旅行にお寺なんて来る? フツー」



今私たちは修学旅行で山口県の功山寺(こうざんじ)という所に来ている。


桜と紅葉(こうよう)が有名な所らしいけど、高校生がそんなところに来て喜ぶはずもない。


みんな早く終わらないかと思っているのがヒシヒシと伝わってくる。




「村上!」



前から私の名前を呼びながら男子が駆けてきた。



「あ、秀……」



駆けてきたのはうちの学校で一番イケメンだと言われている近藤秀(こんどうしゅう)



秀を見つめながら小さく呟くと、小夜子は私の肩を軽く叩いて前にいた女の子の方へ走っていった。



もう、小夜子ったら……



「おばさんみたいな顔してるぞ、村上」

「余計なお世話っ、秀こそフケたんじゃない?」



プイッとそっぽを向いた。

そんな私を見て秀は面白そうにケラケラわらっている。



何でいつもこうなっちゃうんだろ……



秀は私がずっと片想いしている人。


1年のときは違うクラスで話す機会なんて全くなかったけど、2年では同じクラスになれてよく喋るようになった。



だけど、いつもいつも可愛くないことを言ってしまう。



「仕方ねぇだろ。だって前でまた古先が大内義長(おおうちよしなが)伝語りだしたんだよ」



古先というのは私たちのクラスの担任の古川隼人(ふるかわはやと)先生のこと。

古川先生は生っ粋の『大内義長』ファンで授業である日本史やホームルームなどでことあるごとに義長の話をしている。


いつもその話をするので古川先生の授業はあまり人気がない。


とは言っても私はほとんど寝てるから名前くらいしか覚えてないんだけど……



「もういい加減覚えたわ」

「それはお疲れ様です」

「でさ! ちょっと提案なんだけど……」



そう言って秀は私の方へ顔を近づけてきた。



(ア、アップ!?)



いきなりで私の顔は自分でも分かるぐらいに熱くなる。

それが秀に悟られないよう私は俯いた。



「で、何?」

「この近くに義長の墓があるらしいんだよ」

「お墓?」

「そ、それを二人で見に行かねぇか?」



ふ、ふふ、二人?!



秀のお誘いなんて天にも上る気分だ。


でも、



「抜け出すってこと? 見つかるかもしれないじゃん」



普通の日なら喜んで飛びつくだろう。

でも流石に学校行事を抜け出すのは気が引ける。



「ほんと真面目だよな。大丈夫大丈夫誰も気づかないって」



多分小夜子は確実に気づくと思うなぁ……


でも小夜子は私が秀の事を好きなの知ってるから大丈夫?




「な? 行こうぜ」



こんなにカッコいい笑顔でお願いされたらどんな人でも許してしまうだろう。



「は、はい」




まぁ、結局イケメンの笑顔は強いということで。






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