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桜の蕾《完結》  作者: アレン
プロローグ
2/99

2.桜

(狂い咲き……)


肌寒い風が吹く中、桃色の花を見事に咲かせる木の前私は足を止めた。



9月。

周りの木々は青々とした葉をつけているのに、この1本だけは全身を桃色に染めている。

観光客も珍しいこの木に心奪われ花を見上げていた。



美しい桜はとても楽しそうに咲いているように見える。





なのに何でこんなに泣きそうになるんだろう。



どこか懐かしい、それでいて凄く切ない……


そんな不思議な感情が込み上げてきた。




――桜を見ると寂しくなる。






そんなことを何処かで聞いたことがある。



だからだろうか。


それとも昨日見たあの夢のせいなんだろうか。





私が桜の木の前にいる夢。


誰かが隣にいた気がするのだが、全く思い出せない。




でも起きたときに私は泣いていた。






ため息をつき私はその場を離れた。



そろそろ行かないとみんなとはぐれてしまう。




**********


しばらく歩くと、ぞろぞろと大人数で歩く集団を見つけた。


私は少し小走りでそこを目指す。



すると最後尾にいた一人が私に気づいて振り向いた。




「ちょっと桜! 何処行ってたのよー」

「さ、小夜子」



少し怒った顔で話しかけてきたのは山岸小夜子(やまぎし さよこ)


私の幼馴染みであり大親友だ。




「もう! いきなり居なくなるからビックリしたじゃない」

「ごめんなさい。桜に見とれちゃっててさ」



小夜子は頬を膨らませて私を睨むが、そんな姿も凄く可愛い。



少し茶色がかった髪に整った顔。


背は平均より少し低くて、まるでお人形みたいな小夜子。


性格もサバサバしてるけど人当たりが良くて男女問わず人気がある。




そんな小夜子とは対照的に私は真っ黒な短い髪に、平凡な顔立ち。


小夜子曰く素直な子らしいけど自分では全然そんな風には思わない。

たまに余計なことを言ってしまったり、肝心なことを言えなかったりする。


私とは正反対の小夜子を羨ましく思う時もあるけど、私は小夜子の事が大好きだ。




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