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たまには恋愛小説のように
朝、暗いうちに揺さぶられて起きました。
うん?シンさん?
「エーメ、今の内に二人で一緒にここから逃げよう。」
ちょっと、こそばゆかった。
『攫ってってくれます?シンさんとなら、どこでも行きますよ』
そして、やっと日が昇る頃、鳥の声しかしないお城から、シンさんの馬に乗って逃げだしました。
でも、後ろの方から、甲高い声が聞こえる様な。
逃げたのバレたかな??
一週間の道のりも、なんだか逃亡劇みたいで燃える。映画見たい。頭ががふわふわする。
ただ帰るだけなのに、なんだか飛んで行ってしまいそうな気がして、必死にシンさんにしがみついた。
ただ連れて帰るだけなのに、飛んでどこかへ消えてしまいそうな気がして、必死に守ろうと思った。