ゆるい周りと苦労人が2人
この声は・・・
『シンさん?シンさん!』
「エーメ!無事だったか!よかった!心配した!」
『うわ~ん!シンさん!迎えに来てくれたの?村はどうなったの?みんなは?』
「一体どこにいたんだ?城から居なくなったと連絡があって、血の気が引いたぞ。」
『え・・・どこって・・・図書館長の家だけど、王様から連絡なかったの?』
「・・・なぜそんなところに。」
『帰りたい、って言ったら、預けられたの。王様に・・・』
「・・・父上?」
「シンが嫁を見せに来ないのが悪いんだろう?しかもケーキを作れるっていうじゃないか。ずるいだろう。隠してるなんて。」
「シンがグズグズしてるから~。こんなことでもなければ、必死になることなんて、ないだろ~?」
「彼女は・・・」
「シン~彼女は、公爵家の養女になったんだよね。今、縁談が30くらい来てるんだって。」
『嫌だ~ (泣)』
「他の男に取られるんだぞ。分かってるのかね。」
「せっかく、田舎が良いと言ってくれてる、珍しい相手なのに~。」
「・・・まさか、見合い相手って、彼女ですか?」
「「そうだよ。」」
『私、初耳なんですけど(泣)』
「・・・帰ろう。疲れた。」
『連れて帰ってくれるの?』
「ああ。荷物は?」
『攫われたので着てきた服以外はありません。』
「うちの娘~(泣)」
「まあ!恋愛小説みたいだわ!」
『あっお父様お母様、お世話になりました。お兄様達にも楽しかったと伝えてください。』
「あの家には、若い兄弟しかいなかったはずだが。」
『どうしても妹が欲しかったそうです。』
「・・・」
「とりあえず、一晩くらいはお城にいなさい。」
「そうだよ~。エメラーダも、泊まればいいし。」
「久々だし、ちゃんと顔くらいは見せて行きなさい。」
「母上達にもごあいさつがまだでしょ~?」
「『・・・」』
なんか、押し切られました。
ここで離れたら、危険な気がする。
シンさんも同じだったらしく、ずっとへばりついてました。
なんか、都に来て、初めて安心できた気がした。