負けないぞ!
預けられたのは図書館長のジルさんちでした。
都から出て、30分程にある、没落公爵(?)の家だそうです。
政治に関心がないので、中央から忘れられているとか。
でも、困ってなさそう。
「ただいま~ローザ、おみやげがあるよ~。」
「おかえりなさ~い♪なにかしら~?」
「娘だよ~。」
「まあ、前から娘が欲しかったの!ありがとう!」
・・・ここの夫婦はゆるかった。
そして、20歳位の男の子が2人、
「よろしく妹よ。僕は、長男のジークね。お城で研究者やってる。」
「僕は、ミンスお兄ちゃんって呼んでね♪一応騎士団に入ってる。」
子供もゆるいのか。
『エメラーダです・・・あの、私の方が年上・・・』
「「妹欲しかったんだよね!!」」
・・・どうしても妹にする気か。
『・・・どうぞよろしく・・・お兄様達・・・』
「エメラーダちゃ~ん。エーメちゃんって呼ぼうかしら?このお洋服着ましょう~。」
『(ぐっ・・・フリフリピンク)あの、お兄さん達のお下がりがありましたら、
そちらの方が動きやすいし、今までそういう感じだったので・・・。』
「だって、このお部屋にはこのお洋服の方が似合うでしょう?」
『・・・そうですけど・・・(部屋もフリフリしてる)』
「水色の方がいいかしら?女の子っていいわ~息子達はもうドレス着られないし。」
着せてたの!?
『じゃあ、水色で・・・(裾だけちょっとフリル)』
「お夕飯は何がいいかしら?普段は何を食べてたの?」
『向こうでは、羊のハンバーグとか、熊の燻製のスープとか、鹿のステーキとか・・・』
「・・・え~っと、どこから来たの?」
ええっ!いまさら!?
『東に1週間ほど行った、ミルという田舎の村です。』
「そうなの~熊がいるの?」
『森にいます。猟師さんや狼族が獲ってきてくれます。』
「そうなの~。え~と熊はないから・・・お魚は食べられるかしら?」
『たぶん、大丈夫だと思います。』
なぜか前から居たような扱いをされる、気まずい夕飯が終わり、
突然の環境の変化に戸惑いつつ、窓の外を見てみる。
逃げだすのは簡単だけど、一人で帰れる自信はない。
困ったな。お城出る前に、皇太子締めあげればよかった。
情報が一切ないのは不安だ。
「エーメ。ミンスお兄ちゃんが腕枕してあげる♪」
『えっ!?・・・いえ、・・・一人で寝られますので。』
「ジーク兄ちゃんが、絵本を読んであげよう!」
『私の年齢設定、いくつなんでしょう・・・』
「お父様と一緒にお話ししようか~。」
『(何とか情報を集めなきゃ!)はい、お父様。』
・・・ホントに単なるおしゃべりだった。
意外とボロが出ないな。
こうなったら、直球で。
『王様に何か言わてるんでしょう?』
「え?娘欲しくない?っていうから、欲しいです。って答えたら、君が来た。」
・・・ううっ。
『疑問に思いませんでした?これ誰?とか。』
「だって、娘欲しかったんだもん。」
・・・王様め。情報ゼロで渡したな。
こういうことか。
情報集めるためには、お城に戻らなきゃならないじゃん。