身の終わり
負け組の人生を勝ち組に。天才なんていない、努力がすべてを変える。
光吉は山の中にあるポツンとした家に住んでいた。
狐なんてそこら中にいるのどかではあるが、今は川には血が、田んぼには刃物や甲冑があちらこちらに無造作に置いてある。
光吉は兜を一つ手にとって見た。
自分の頭より断然大きいが半分は壊れ、黒く酸化した血がついている。
光吉は兜を置いた。
田んぼに風が吹く。
ああ。乱世が始まる。
風が吹いた後、奥の山から人が歩いてきた。
数は多くザッという音がこだましている。
行列は光吉の前をスギた。
その中にいかにも偉そうな野郎が一人馬に乗っている。
野郎は痩せてるが筋肉はありそうだ。かなり立派な将に見えた。
光吉は思い出した。
野郎が父を弓で射抜いた。
父は。。
光吉はそれを思い出すと坂をくだる殿様御一行に向かって。
「いつかお前を絶対に殺してやる。覚悟しとけよ。」血を吐きながら彼は天高く叫んだ。
殿様のお付きのものはは嘲笑うかのように振り返った。
殿様は何も言わなかった。
俺は人生負け組だ。
光吉が負け組だと感じるのも無理はない。
一家を経済面で支える大黒柱となる父、家庭面で支える母を失ったからだ。
父は殺された。残酷だが両親を殺されるこんなことが当たり前の時代に彼は生まれた。
光吉は生まれる時代ガチャにも失敗した。
悲しんでられる暇もない。
進むしかないのだ。
生きることすなわち、背水の陣だ。
光吉は父が家から出ていく前にくれた弓を凝視した。
ナンの変哲もないホコリまみれで、血もついいていて、少し腐っている。
父は「弓を使ってこの乱世を生き抜け」彼は頷くことしかできなかった。
いや頷くという選択肢しか浮かばなかった。
無口であり、でも情熱もあるたった10歳の子供が荒波に乗ろうとしている。
彼の名は後にこう呼ばれる大島雲八。
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