表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第2話 闇の影と、滅びの前兆

夜の闇が村を包む頃、リリアの家の中にはほのかな灯りが揺れていた。


「今日は長かったね……翼さん、少し休んでください」


申し訳なさそうに言うリリアの声に、翼は微笑むしかなかった。

いまだ胸騒ぎは止まらない。

リリアの言う「影が迫る」というお告げが、現実味を帯び始めていた。


──その瞬間だった。


村の中央から、けたたましい悲鳴が上がる。


「きゃあああああ!!」


「まさか……っ!?」


リリアが蒼ざめ、翼は反射的に立ち上がった。


窓の外──

黒い霧が、村の灯りを塗りつぶすように押し寄せていた。


「来た……“光を食う影”が……!」


「ここにいちゃ危ない! リリア、逃げるぞ!」


「でも……村の人が……!」


一瞬の迷い。

だがその迷いを押しつぶすように、暗闇から“獣の咆哮”が放たれた。


「グオオオオオオッ!!」


闇が獣の形となり、家々に襲いかかっていく。



外へ飛び出した翼の前に、黒い狼のような怪物が立ちはだかった。


翼は村の壁に立てかけられていた古びた剣をつかむ。


「剣なんて触ったことねぇけど……やるしかねぇ!」


「翼!! 気をつけて!」


怪物が爪を振り下ろす。

翼は剣で受け止めるが──


「ッッぐあああ!!」


衝撃で地面に叩きつけられる。


(くそっ……! 全然動きが見えねぇ……!)


二体目が背後から飛びかかる。


「翼、後ろ!!」


リリアの叫び。

振り向きざまに剣を振るうが、かすりもしない。


鋭い爪が翼の肩を切り裂いた。


「がっ……!」


血が飛び散る。

視界が揺れる。


(痛い……怖い……無理だ……)


弱気がよぎった瞬間、リリアの震える声が耳に届いた。


「翼! 死なないで……っ!!」


その声が、胸の奥で何かを灯す。


(……俺は……誰かに……頼られたことなんて、なかったんだ)


 就活も、未来も、自分の人生もどうでもよかった。

 だけど今は──


(リリアを……守りたい……!!)


翼は折れた剣を握り直し、立ち上がる。


「まだ……終わってねぇ!!」


闇獣が一斉に襲いかかる。

それでも、翼は退かない。


 ──その瞬間。


 胸元の石が、脈を打った。


 ドクン──。


身体が温かくなる。


「……え?」


石が強い光を放ち、翼の身体を包み込む。


「翼……それって……!」


リリアが目を見開く。


光の力が剣に宿り、折れていた刃が“光の刃”へと変わった。


「……これが、この石の力……!」


翼が一歩踏み出す。

その動きに、怪物たちは怯んだ。


「うおおおおおおっ!!」


一閃。

光の刃が闇を切り裂き、怪物が悲鳴を上げて霧散する。


二体、三体──次々と倒れていく。


「すごい……すごいよ、翼!!」


リリアの声が届く。

翼は荒い息を整えながら、最後の一体を切り伏せた。


怪物の鳴き声が消え、村に静寂が戻る。


「……やった……のか……?」


「ふむ。これが“光の石”の力か。」


冷たい声が夜空から降ってきた。


振り返ると、闇が裂けるように一人の男が現れる。


黒い甲冑。

禍々しい紋章。

異様な威圧感。


「なっ……なんだ……こいつ……」


村長が震える声で言った。


「やめろ翼殿……あやつは……闇王軍四大天の一人

“黒紋の騎士ヴァルガ”だ……!」


「四大天……!?」


リリアが息を呑む。


ヴァルガはゆっくり歩み寄り、翼を見下ろした。


「光の石が選んだ者か。

 だがその程度で、我らに敵うと思うなよ?」


次の瞬間、ヴァルガは剣を抜かず“気”だけで圧を放つ。


「っぐ……!!」


翼は地面に膝をついた。


覚醒したはずの光も、彼の前では小さく見える。


「……くそ……っ」


「翼、もう無理だよ……!!」


リリアが涙声で叫ぶ。


だが翼は震える膝で立ち上がる。


「逃げたら……守れない……!

 俺は……特別なんかじゃない……けど……

 リリアだけは……絶対に……守る……!!」


その言葉に石が微かに光を強める。


だがヴァルガは鼻で笑った。


「守る、か。

 ──なら知っておけ。我々の目的は“石ではない”。」


「……え?」


「我ら闇王軍が求めるのは──その娘、“リリア”だ。」


村長と翼の顔が凍りつく。


「な……んで……?」


「娘よ。お前には“光の巫女”の資質がある。

 光の王国エリュシアが滅んだ今、その力は世界に一人だけだ。」


リリアは震え、翼は怒りに燃える。


「リリアには……手を出させねぇ!!」


「ほう。自分の弱さに絶望してなお、まだ威勢を。

 次は──この村ごと滅ぼしに来る。」


ヴァルガは剣を抜くことなく、闇に溶けるように消えた。


残された村は静寂の中、ただ震えていた。


「村長……リリアが、光の巫女……って?」


老人は悔しげにうなずく。


「リリア、隠していてすまなかった。

 お前は神のお告げを聞く唯一の巫女……

 闇を封印できるとする光の王家の血を引くものだ。

 そして翼殿、貴方は“光の勇者候補”だ。」


俺もリリアも村長の突然の発言に体が固まっていた。


「お、俺が勇者……候補……?」


「うむ。だが今のそなたのままではヴァルガには到底勝てぬ。

 明日、北の森の奥──“勇者の試練場”へ向かえ。

 石の力を知るには、そこへ行くしかない。」


 翼は拳を握った。


「強くなる……必ず。

 リリアを守れるくらいに……!」


 リリアは涙を拭いながら微笑む。


「……翼。私も行く。

 一緒に……光を探そう。」


 翼はうなずいた。


 石が胸元で、静かに明るく輝いた。


 闇に沈んだ世界で──

 二つの光が、確かに動き始めた。

【作者からのお願い】


少しでも、


「面白い!」


「続きが気になる!」


「更新がんばれ、応援してる!」


と思っていただけましたら、


この下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして、


【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!


皆様の応援が、作品を書く最高の原動力になります!


ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ