プロローグ 物語の始まり
数ある作品の中から手に取ってくださりありがとうございます!
この作品は私の人生初作品になります。
ぜひ多くの人に楽しんでもらえたらと思っております。
「今後のご活躍をお祈り申し上げます」
これが俺の記念すべき20回目のお祈りメールになった。
「また……お祈りメールかよ……」
大学三回生の11月、俺は未だに内定もなければ
インターンシップにすら通らない状況だった。
周りの人たちには既に内定を決めた人
10社以上インターンシップに参加した人もいるのに。
周りが前に進んでいくほど、取り残されていくようで怖かった。
自分だけが世界から置いていかれている気がした。
「俺って将来どうなりたいのかな」
5限が終わった大学の教室は静かで、夕日が差し込んでいる。
俺には将来成し遂げたいこともやりたいこともない。
だからいつも面接で将来像を聞かれたとき上手く答えられなかった。
強いて言えば特別な人間になりたかった。
自分でもその特別な人間が何なのかもよくわかっていないけど。
親に心配をかけまいと笑ってみても、胸の奥の虚しさは消えない。
履歴書も面接も、全てが空回りしている気がした。
何度も自分を責め、周りと比べては落ち込み、布団に潜り込む夜が続いていた。
そのとき、スマホが新しい通知を知らせるために光った。
「採用 鈴木 翼様」
俺は思わずそのメールをタップする。
「……まさか、これが本当に?」
送信者のメールアドレスには、見覚えのない奇妙な記号が並んでいた。
でも、そんな細かい違和感さえ、今の俺にはどうでもよかった。
画面は眩い光を放ち、指先に熱を感じた。
目をこすっても光は消えず、世界がゆっくりと歪み始める。
次の瞬間、世界が反転した。
目を開けると、見知らぬ森の中。
太陽の光が木々の隙間から差し込み、鳥のさえずりが響いている。
風は柔らかく、どこか現実離れした心地よさだった。
「……ここは、どこだ?」
ぼんやりと起き上がると、視界の端で何かが揺れた。
白いワンピースのような布――いや、少女の服の裾だ。
「大丈夫……ですか?」
透き通るような声が降ってきた。
振り返ると、そこに立っていたのは
銀色の髪に薄い光が宿る少女。
綺麗なのに、笑うと少し幼く見える不思議な雰囲気。
しかし、その顔は今、不安そうに揺れていた。
「倒れていたから……怪我は?」
「あ、いや……俺はその……」
頭の中は真っ白だった。
この状況も、この世界のことすらわからない。
少女は少しだけ眉を寄せ、そっと俺の前に膝をついた。
距離が近くなり、彼女のまつげの長さまでわかる。
「よかった……息は整ってる。顔色も悪くない。ほんと、よかった……」
胸に手を当て、ほっとしたように笑うその表情は、
この世界に来て初めて見た“あたたかさ”だった。
俺はその笑顔に、
――思わず息を呑んだ。
「助けてくれたのか……?」
「え、あ……はい。倒れていたので……つい」
照れたように視線をそらし、頬が淡く赤く染まる。
その仕草がやけに胸に刺さる。
なんだろう、この子――
守りたくなる、ってこういうことなのか。
「私はリリア。ここの近くの村に住んでいます。あなたは……?」
「俺は……鈴木、翼。なんか気づいたらここにいて……」
言葉に詰まる俺を見て、リリアは首をかしげた。
「記憶が……混乱しているんですね。無理に思い出さなくて大丈夫です。立てますか?」
差し伸べられた手は、とても細い。
けれど、その手には震えがあった。
その震えは、俺だけじゃない。
彼女自身も、何かに怯えているように見えた。
――この子も、怖かったんだ。
それでも助けてくれた。
「……ありがとう。助かったよ」
俺がその手を取ると、リリアは一瞬驚いたように目を見開く。
そして、ふわりと微笑んだ。
その笑顔を見た瞬間、胸がきゅっと熱くなった。
俺はこの世界のことも、彼女のことも何も知らない。
けれど――
“この笑顔を守りたい”
気づけば、無意識にそう思っていた。
「とりあえず……私の家へ。休めば少しは落ち着くと思います」
「ああ。頼むよ、リリア」
少女が一歩先を歩き、俺がその後ろに続く。
彼女の髪は、差し込む光を受けて淡く輝いていた。
この世界そのものが、彼女を柔らかく照らしているように。
こうして――
俺とリリアの物語は静かに始まった。
俺はまだ知らなかった。
この出会いが、俺の運命を大きく変えることになるなんて。
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