体育祭準備③
「さっさと済ませて皆んなに合流しちゃおう」
第一体育倉庫から第二体育館倉庫は校舎を挟んで反対側にあり、まあまあな距離がある。
体育倉庫間を早足で進んでいく。
思ったよりも早く第二体育館倉庫が見えてきた。
そのままの勢いで入ってみようかとも思ったが、怪我しそうだったので、足にブレーキをかける。
そして、第二体育館倉庫の扉を開けようとすると…
「あれっ扉が開いてる」
どうしてだろう俺以外に雑用を押し付けられた奴がいたのだろうか?
どうもそいつとは仲良くやれそうな気がする。
そんな事を考えながら、第二体育倉庫に入ろうとすると、積まれているものが崩れるような音と、少しだけ聞き覚えがあるような女の子の声がした。
急な物音だったので、樹もかなり動転したが、とりあえず助けようという考えが先行して、倉庫の中に入り、声を出した。
「だっ、大丈夫ですかー?」
「えっ?澤幡くん?」
「は?七瀬?」
そこには上から落ちてきた荷物と共にあられも無い姿を披露している、七瀬がいた。
とりあえず七瀬の上にあった、カラーコーンを入れていた段ボールの集合体をどかす。
「そんで怪我とか七瀬大丈夫そうか?」
「うん、上からものが落ちてきて、びっくりしちゃった転んじゃった。えへへ。怪我とかは特に無いから安心して」
「それはよかった」
七瀬は国旗の旗の数が足りず、センセに頼まれてここまで取りにきていたらしい。
なんという親近感。
ふと七瀬の方に視線を向けるとそこには、照れながら少し頬を桜色に染めてはにかんでいる七瀬の姿があった。
これを見て猫被りしてない方が俺は好きだ。
と率直に思ってしまった。
「こっちの方が俺は好きだけどなぁ〜」
「………えっ?!?!」
しまった心の声がつい言葉に出てしまった。
まずいまずいこれは七瀬から『何勘違いしてんのキモッ』と言われるに違いない。とにかく弁明しないと。
良い言い訳が思いつかずにあたふたしていると、意外にも口を開いたのは七瀬だった。
「ふーん澤幡くんはそんな事を私に対して思っていたとふーん素の私の方が好きだと」
もう弁解のしようがない。
「まっまぁ猫被ってるとかの七瀬よりも可愛いと俺はは思う」
綺麗な乳白色のサラサラとした髪、真っ白に輝く肌。
出るとこは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。理想的なスタイル。全体的に細いが、不健康さによるものでは無いとわかる。
確かにこのイメージだと大人っぽいお嬢様(?)みたいなイメージを持つのはわからなくも無いが、樹からしてみれば、七瀬は元気はつらつというイメージしか持てない。自分でも何故かよく分からないが、大人っぽいキャラというのはどうもしっくりこない。
「やっぱり樹くんは変わらないね」
七瀬がぼそっと呟いだがその声は樹届いていない。
「ん?何か言ったか?」
「んん、なんでも無い。じゃあお目当ての旗があったから私はこれで、ばいばーい」
倉庫の扉からひょこっと顔を出して手を振ったのち、どこか消えてしまった。
「何を言ったんだろう」
そんな事を考えていると、自分に科せられた任務を思い出した。
ヤバっ早く椅子持って行かないと素早く椅子3個を両手で持ち、行きとは打って変わった鈍足でグラウンドまで向かった。
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