テスト返却と昼ごはん
クラスはいつもに増して賑やかだった。
七瀬さんとの勉強会から二週間ほどが経過して、テストの全日程が終了し、今日テストの結果が返ってくる。
最初は数学、数学担当の教師が教室にやってきて一人一人答案を返却していく。
樹はいつも通り8割後半ほどの得点率で、少し安心しつつ、席に着く。
ここで後方から話しかけられる。
前とは違い、話しかけてくる人は2人に増えたが、男女1人1人なので直ぐに話しかけてきた相手がわかる。
今回は男の声だった。
「樹ぃー点数どうだった?まぁお前のことだから毎回良い点数なんだろうけどっと」
樹肩の後ろから答案を覗く。
「げっ87点って、相変わらず頭いいな」
「そんなことないさ、瑛二でも頑張ればこれくらいの点数取れると思うが。で、こんかいは今回は点数上がったか?」
「ふっふっふー聞いて驚け!18点アップで45点、赤点回避ーすげーだろ」
点数が上がったことがよほど嬉しいのか、かなり誇らしげの瑛二。
「別に45点はすごくない」
「うるさいなー点数が上がったことに意味があるの」
「分かった分かった」
肩に置かれた手を振り払つつ、ふと前を見ると、前で女子数人と話している七瀬さんと目が合う。
彼女はニヤッとしつつ、答案用紙をこちらに見せてくる。そこには92点という数字と、数学教師からのグッドマークが書いてあった。
流石にそこまで伸びるとは思っていなかったので、単純に凄いと思ったが、顔がムカついたので凄い凄いという顔をして顔を背けた。
その後順調にテスト返却は進み最後の科目まで終わった。
帰りのHRも終わり、瑛二と挨拶をして教室を出る。
テスト返却の日は午前で学校が終わるので、基本的に午後は自由なのだが、珍しく予定が入っているので、今回ばかりは暇ではない。
校門を出て待ち合わせの場所に向かう。
待ち合わせの広場に着くと今回もナンパにあっているのではないかと思い心配したが、その考えも杞憂に終わった。
「あっ澤幡くん!こっちこっち」
そこには勢いよく手を振りながら早く早くとジェスチャーをしている七瀬さんの姿があった。
そう約束していた相手とは七瀬さんのことであったのだ。
てかそれ以外いないか。
「お待たせ。ごめん待たせちゃって」
「うんん、今来たとこだから」
「そっか、なら良かった。じゃあ行こうか」
「うんっ」
前回の勉強会の時は黒色のセーターにジーパンと言うかなりラフな格好だったが、制服でいる七瀬さんをみるとかなり印象が違うように見えるな。
制服の方が七瀬さんの女の子のところが強調されて…いかんいかんこんな事考えてるってバレたらコロされる。
「どしたのそんな私の事を見つめて?あっもしかして私の顔に見惚れてた?」
そう言いながら見せる小悪魔の様な笑みに思わずドキッとする。
てかなんで分かったんだよ。
何か反論しなければ。ここでの沈黙はまずい。
「そっ、そんなわけないだろ」
「その言い淀み方気になるなぁー」
「うるさいお腹空いたから早くいくぞ」
「はーい」
七瀬さんの隣を歩きながらふと考え方をする。
七瀬さんと友達になってから新しい自分が見え隠れしていると思う。
前までの自分だったらそもそも女子とカフェで勉強なんてしなかったと思うし、今こうやって隣を歩くこともなかったと思う。
振り回されてばっかりだけどそんな生活も悪くないと思っている自分がいる。
前よりも確実に生き生きしてると思う。
そう思うと七瀬には感謝だな。
さてそんな事を考えてるうちに目的のファミレスに到着した。
「澤幡くん行こ!」
「うん」
ニコニコ笑顔な七瀬さんに手を引かれながら、ファミレスの中に入って行った。




