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過去の記憶

「とりあえずブランコ座ろっか」

「う、うん」


とりあえず頷いてしまったがなんだこの状況は?

一緒に帰ろっと言われてついて来たら公園で話があるって…やっぱわかんねぇー


「あのぉそれで話っていうのは?」

「うーんとねこ光景と私を見て何も思い出さない?」

「…すいません」


むぅと頬を膨らませる七瀬を見てあらゆる思考を巡らせる。

何か俺が知らないうちにやらかしたかもしれない、そうなったらまた俺は瑛二しか友達がいない生活に…


そんな事を考えていると、七瀬がおもむろにスマホを取り出し、写真のアプリを開く。

そして1番上にある写真を大きくし、樹に、スマホの画面を向ける。


その画像を見た瞬間に樹の小学生時代の記憶が蘇ってくる。

はっ?七瀬があの時の…えっ?


混乱しすぎて上手く言葉が出ない。


全く気づかなかった。あの時とはまるで雰囲気が違ったし、そもそもあの子とはもう会えないと思ってたし…


あぁー上手く考えがまとまらない。


そんな中ふと七瀬の方を見ると、羞恥心におそわれているのか、顔から湯気が出る勢いで、耳まで真っ赤になっていた。


「いっ、澤幡くん、思い出した?」

「あっあぁいゃあの時の子が七瀬とは大きくなったなぁ…色々と」


改めて、七瀬に目を向けると身長が伸びたのは当たり前だが、顔も大人の女性になっているし、それ以外も女の子として順調に成長していることがちゃんとわかる。


「気づくのが遅いーあの時ちゃんと自己紹介したよね!?私以外に七瀬しろはで白髪な人珍しいと思うんだけど!?」

「いゃあの時急にいなくなっちゃったのがショックだったのかな。なんか忘れようと必死になってて」

「そ、そうだったんだ。ごめん」


少し落ち込んでるように見えるが、聞きたいことがありすぎるので、話を続ける。


「どうしてあの時な日も言わずにどっか行っちゃったんだ?あん時結構ショックで学校数日行かなかったんだけど」

「そっそれはごめん急に海外へ帰ることになっちゃって…最後の日澤幡くん待ってたんだけど全然こなくて…」


両人差し指をツンツンしながら答える。

「あっ、その時風邪引いてて家で寝込んでだかも…」

「そりゃ来ないわけだ。タイミング悪かったね」


2人で子供の時のように大きな声で笑う。


たくさん笑った後、七瀬が口を開く。


「あ、あの子供の時みたいにさ…な、名前…」

「名前?」

「下の名前で呼ばない?」


確かにあの頃はどちらも下の名前で呼び合っていたが、子供だったから恥じらいもなく出来ていたのであって…


「今の年齢ではちょっと…」

「ダメ?」


上目遣いで少し涙目になりながら言われる。

こんなの断れる男がこの世に存在するんだろうか?


「わ、分かったよ。な、っ、しろは」

「も、もっと自然に!樹くん」

「はっはい。しろは」

「合格ちょー合格」


嬉しいそうにブランコから立ち上がる。


「よし!じゃぁ付き合ってくれてありがと。明日の体育祭頑張ろうね!樹くん」

「おう頑張ろうな。…しろは」


そう言い残すと元気よく走り去って行った。

しろはの後ろ姿には花が舞っているようなオーラが見えた気がした。



―――――――――――――――



言っちゃった、言っちゃった。言っちゃったー


ついにいえたぁ。樹くんに私はあの子だよって。


ずっと前から計画は練っていた。


普通の学校の帰りだと周りが気になるから、体育祭準備に誘って、その後一緒に帰って、公園で伝える。


我ながら完璧に遂行できた!!


名前で呼び合えたしこのままいけば…ぐふふ


そんな事を考えているとあっという間に家の前だった。

これは公園から家が近くだからと言うだけでは無いと思う。



――――――――――――――――





読んでいただきありがとうございます。

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