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体育祭準備④

少し長くなっちゃいました

「あんなところで樹君と会えるなんて嬉しかったなぁ」

今の自分の顔は他人に見せられないほど、へにゃりとしているだろう。


「まずいまずい樹君じゃなくて澤幡くんはって呼ばなきゃ…まだ子供の頃の癖が抜けないなぁ」


そう私と樹くん改め澤幡くんとは幼少期友達だった事がある。


当の本人は覚えて無いみたいだけど……


そんな事を考えていると樹君と出会ったあの日のことを自然と思い出していた。


私が小学2年生の時私は日本に引っ越してきた。

しろはの母親は、イタリア人と日本人のハーフで、私は日本に引っ越してくるまでは、イタリアの日本人学校に通っていた。


父親の仕事で日本に来ることになったしろはは、引っ越した家の近くの小学校に通うことになった。


初めてきた日本、見慣れない街、知らない人々、思い出のあったイタリアの家との別れ、そんな状況に置かれていたしろはは、環境に順応できていなかった。


小学校では髪の毛の色が皆んなと違うからと、妖怪扱いされたり、おばけだと言われたり、俗にいうイジメに会っていた。


家に帰るまでも日本人から見ると特徴的な見た目をしていたので嫌な視線を向けられる。


家に帰ってからも、父、母親それぞれが仕事に行っており、帰ってくるのは夜11時を過ぎてから。


ひどい時は朝帰りなんてざらにあった。


ゆういつ安心できた時間は、お手伝いさんの斎藤さんがきてくれる火曜日と木曜日の午後17時から19時のたったさ2時間ずつ、その日以外はずっと家で絵本を読んで過ごしていた。


そんなある日、絵本を読んでいると、窓から家の近くにある公園が見えた。


そこには同学年くらいの男女数名が楽しく遊具で遊んでいたり、砂場でお城作りをしていたりしていた。


そんな姿がしろはにはとても魅力的に写った。


自分もあんな感じに遊んでみたい。

友達と一緒にかくれんぼだったり、鬼ごっこ、ブランコだってこいでみたい。


そんな衝動に駆られしろはは、気づいた時には玄関で靴を履き近くの公園に足を運んでいた。


しかし、そのに待っていたのはしろはの想像した世界とは真逆のものだった。


遊んでいた人たちは、私の姿を見ると同時に、口々にこう言った。


「妖怪しろはだ逃げろー」

「あっまじ?どこどこ?」

「ほらあそこだよ」

「あっほんとだ。変な髪してるね」


そうして、遊んでいた子供たちは、公園から姿を消した。


しろはは泣いた、自分の中の水分を使い果たしてしまうような勢いで泣いた。


まるで自分の周りだけ雨が降っているかのように。


何故見た目だけで判断するのか、ろくに話さずに、一方的に妖怪扱いされなければいけないのか、友達になりたいのに一方的に拒絶されてしまうのか。


日々の不安や怒りが込み上げてきて、公園の真ん中に座り込み、ずっとずっと泣いていた。


どれくらい経っていただろうか泣き疲れてただ茫然と空を眺めていると、いきなり視界が、人の顔で塞がれた。


いきなりのことでびっくりしてしまい、後ろに倒れて地面に頭をぶつけたのは鮮明に覚えている。


「こんなところで1人で何してんの?」 

同じくらいの年齢の男の子にいきなり話しかけられる。


「えっ…何もしてなかった」

ぼそっとまじまじしながら答えているとその子と目が合う。しゃがんでいたのだろうか、目線は同じだった。


「公園にいるのに何もしてないなんて変だな、友達とかいないのか?」

「いない。皆んな私を妖怪扱いするから」

「なんだよそれひでーな」

「えっ?なんで?実際髪色皆んなと違って変だし…

「何でってそれイジメだろ、あと俺は別にお前の髪色カッケーと思ったけどな」

「えっ?」


さも当たり前のことを言うように答えるこの子に困惑の色を隠さなかった。


「だってこの髪色は皆んなと違くて、変な色だから…」

「皆んなと違って何が悪いの?分かってないよな、そいつらは髪が白色とかめちゃくちゃレアでカッケーじゃん!逆に皆んなと違う個性持っててうらやましいぜ」


そっかそんな考え方をしたことはなかった。

皆んなと違うから悪。同じが正しいと勝手に思い込んでしまっていたんだ。


人と違う事は悪じゃない。


そのことをこの子は教えてくれた。


「そういえば名前なんで言うんだ?」

「えっと…わ、私は七瀬しろは」

「七瀬しろはって言うのか、俺は澤幡樹よろしくな!」

「うっうんよろしく」


日本に来て初めて心から笑えた。そんな気がした。


それから樹くんとは公園でよく遊ぶようになった。


そのせいで樹くんがみんなから嫌われてしまっていたけど、樹くんは俺が好きでやってる事だからいいの!

好き勝手言っててもらって俺は良いけどね!と言ってくれた。


初めて日本で私を認めてくれたそんな樹くんに出会えたのが心底嬉しかった。


そんな関係が半年ほど続いたあと、しろははまたイタリアのに帰ることになった。


引っ越しの前日、樹くんにそのことを伝えようと、公園で待っていたけれど、いつまで経っても樹くんは現れなかった。


そのまま時間が過ぎてしまい、しろはは、イタリアに帰って行ってしまった。


そしてしろはが、高校生になる時に必死に懇願し、日本にまたくる事が出来た。


またイジメられるかもと言う不安はなかった訳ではないが、過去の樹くんのおかげでかき消す事が出来た。


また樹くんに会えたら良いなとは思っていたものの、まさか同じ学校の同じクラスに樹くんがいるとは思っていなかった。


成長していたものの人の雰囲気というのはそう簡単には変わらないらしい。すぐに樹くんだと理解できた。


もうこれ運命でしょ、と思い声をかけようとしたが、周りのクラスメイトに捕まってしまい、声をかけるタイミングを逃してしまう。


樹くんから声をかけてくるかな?とは思ったものの樹くんは私の事覚えてないっぽいし……どうすれば良いんだー


そこからズルズルと話しかける事が出来ずに、4月が終了してしまった。


5月も前半が過ぎ、まだ樹くんに話しかける事が出来ていない自分に嫌気がさしつつ、いつも通り下校する。


今日はしろはが委員会の関係で下校が遅くなり、1人で帰ることになっていた。


「傘家に忘れちゃった」


その日は午後から雨が降っており、折りたたみ傘を持っていなかったしろはは、途方に暮れるしか無かった。


そんな時樹くんが声をかけてくれた。


嬉しさと困惑で、最初は動揺しちゃったけどいつものキャラを演じきり、傘を貸してもらえた。


数年ぶりの会話はとても心躍って、至福の時間だった。


公園で素の自分がバレた時も、海外に行っていた事がバレないように、中学の友達に勧められたと答えたが、本当は高校に上がると同時に本当の自分を守るための盾のような役割のつもりで、猫被りを始めた。


「樹くんはやっぱり樹くんだったなあ。へへったくさんお話しできちゃった」


直そうとしても顔の緩みが治らないかったので一度旗を地面に置き、両手でパチンと頬を叩き、駆け足で、友達のいるグラウンドへと向かった。












読んで頂きありがとうございます。

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