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【前編】PVゼロと★ゼロの世界で

【導入】埋もれた名作との遭遇


正直に言うと、私は執筆しながら、ずっと悩んでいました。


――書いても書いても、PVは無風。

風が吹かないどころか、「おい、世界、みんな寝てる?」と確認したくなるほどの静けさです。


それでも奇跡的に、ほんの少しだけ読まれた作品もありました。


「おっ、今度はいけるかも!?」

そう胸が高鳴った作品――。


ありがたいことに、数人の方が★を入れてくださり、コメントまで残してくださった。


その評価のひとつひとつは、本当に宝物です。

今でも画面を開いて見返すと、胸の奥がじんわり温かくなる。


……が、それでも、大体が★10前後。


「小さな星たちに、どれだけ救われてきたか」――そう思いながらも、ランキングの海ではほとんど波紋にもならない。

波立つというよりも、誰の邪魔にもならないように、湖底にそっと静かに沈んでいる感じでした。



そんなある日。

「面白いもの、ないかなぁ」と、カクヨムのミステリージャンルをふらふら眺めていたら、思わず目を疑う作品を見つけました。


既に文字数50万超で連載中。――けど★0。


ゼロですよ? ゼロ。

「いやいや、0って逆にレアでしょ?」


思わずクリックしました。


気になって冒頭2万字を試し読みしたら……。

これが、とんでもない完成度。


売っている本に堂々と並んでいても全く遜色ない。

むしろ下手な商業作品よりも上。語彙力、文章に骨格があり、読ませる力があった。


――だけど、★は0。


他を見た。そしたら、★0がざら。あっちもこっちも。


「ひょっとして、俺の★10って……儲けもん?」


そんな気持ちと同時に、背筋がゾワッとしました。

この埋もれた中にだって、沢山の名作はあるだろうに……。


私はずっと思っていたんです。


★がつかない理由は「自分の作品が読者にウケるレベルに達していないから」――要するに“へたくそ”だからだ、と。


でも、★0が全部そうではなかった。

★0の中にも、間違いなく“本物”が埋まっている。


その瞬間、私ははっきり悟りました。


Web小説の世界には――「読まれること」と「優れていること」の間に、とてつもなく大きなギャップがある。


そして私を含む大多数の作者は、その狭間でもがきながら、

それでも今日もキーボードを叩き続けているのです。





【第一章】ランキングに刺さる“軽さ”の鉄則


★0の傑作を見つけてしまった私は、考え込まずにはいられませんでした。


――じゃあ結局、“読まれる作品”ってなんなんだ?


そこでAIに相談してみることにしました。


私:「ある書籍化作家さんの動画で、

  Web小説についてこんなことを言っていたんです。どう思います?」


・軽く、手っ取り早く楽しめること

・読み飛ばされる前提で書くこと

・冒頭がつまらなければ即死(第5章から面白いは論外)

・毎話にフックが必要(全体の面白さは二の次)

・ヒロイン死亡はNG(離脱者が増える)

・大掛かりな伏線は不要(伝わりにくい)

・バトルは「どっちが勝つか」だけでOK

・キャラ数は極力少なく(序盤は3~5人程度)

・恋愛要素はできるだけ入れる

・説明は極力減らし、会話でテンポ良く進める


どう見ても「軽さ」一直線のリスト。

そして私の作品は、そのNGだらけです。


――俺の『エナジャイズ 』は、バトルに全フリだし。

 『アデン大戦記』にいたってはヒロイン死ぬわ、キャラは40人わんさか。

 冒頭はショボいけど、第5章からは面白い……。


もうこれ、“Web小説”にケンカ売ってる?

読まれない針の穴に、わざわざ全部の針を突っ込んでる感覚でした。



アシスタント:

『これはランキングを狙う鉄則ですね。

 Webは“ながら読み”が主流なので、冗長な説明や大伏線は敬遠されます』


……正直、ちょっと凹みましたが、それでもズシンときたのは事実。


私:「じゃあ、俺が書いてる“骨太描写”や“凝った伏線”は、自己満足で空振りってこと?」


アシスタント:

『ランキングを狙うなら、まずは“軽さ”です。さらに――


・タイトル命(状況+キャラ属性+方向性を一目で)

・冒頭3行でジャンル提示

・更新頻度(毎日更新が強い)

・テンプレ活用+小さな意外性(完全破壊より“ちょっとズラす”)

・感想返しや活動報告でファン固定化』


私は画面を見つめ、ため息をひとつ。


私:「要するにWebは、“回転寿司”的な読み方に最適化されてるんだな。

  読者はダルい部分は読み飛ばし、食べたいネタだけ気軽に選べて、

  すぐ次へ行ける。

  便利で楽しい、いい意味での“回転寿司”。

  ――それが、ランキングに強い作品の正体なんだ」


(俺がやってるのは、全く逆なことをしながら、それでも“読まれたい”って望んでたのか……)

――続きは【中編】へ。

「軽さ」の限界と、「厚み」を目指す理由を語ります。

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