日雇い整備士、魔導AIに接続する――機殻思考が支配都市を揺るがす

自由は、この都市には存在しない。

灰色の雨が降り続く産業都市。
剣と魔法、銃火器、そして蒸気と歯車の機械が渦巻く街では、ギルドが水・食料・軍事などを独占し、人々の自由を押し潰している。

日雇い整備士のライザは、戦術魔導士団の外郭防壁工事に使い捨て同然で駆り出されていた。
作業の最中、偶然触れた古代魔導文明の中枢機構から膨大な情報が頭へ流れ込み、その瞬間、彼の世界は一変する。

視界に浮かび上がったのは、相手の動き、弾道、魔力の流れが最適解へと収束していく軌道だった。
その導きに身を任せた彼は、武装兵を撃退してしまう。

だが、それは都市の均衡を揺るがす火種となる。
魔導AIを奪おうとするギルド、遺産を狙う闇組織、そして監視者のように彼を見据える謎の男――。

味方は条件ひとつで裏切り、助けの手も見返りなしには差し伸べられない。
この都市で生き残るには、常に駆け引きと計算が求められる。

「奪われた自由を、もう手放しはしない」

灰色の都市で、日雇い整備士の反撃が始まる。
生きるために、そして自由を掴み取るために。


＊＊＊
感想はログインされていない読者様からも受け付けております。
作品を気に入っていただけたら、ぜひ評価・ブックマークをよろしくお願いします。