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言葉の圧縮率にまつわる問題と認知的不協和による次元削減

作者: 樋口諭吉

 言葉の「圧縮率」(ここで言う“言葉の「圧縮率」”とは、言葉に含まれる意味密度のことです)の話をしていて、『「専門家」と「一般の人」で言葉の圧縮率が違う』というのが前提にあるとしましょう。


 専門家の使う「高圧縮の言葉」の例を示します。


 医療の例:

  医者が「標準療法を厳守しないと予後が悪い」というと正確だが一般には「なにか悪いことが起こる」としか伝わらず気障な印象を与える。


 法律の例:

  弁護士が「契約の瑕疵」と言うと、一般人には「何か問題があるらしい」としかわからず、気取った印象を与える。


 ここで、本来認識ギャップを縮めてくれることが期待されるAIが、むしろ認識ギャップを広げるかもしれないというジレンマがあります。


 なぜそんな事が起こるかというと、高圧縮の言葉を使う専門家は、AIと話すうちに高圧縮の言葉が一般の人にも伝わると思い込み、一般の人は高圧縮の言葉をAIのわかりやすい回答によって背景のない浅い知識のまま理解するからです。


「専門家が専門の領分の話をするとき、一般の人からは気取った頭の悪い人に見える」という専門家のジレンマは、AI時代では加速されるでしょう。


 また、「一般の人の側がAIを使って高圧縮の言葉を解凍すると」、ダニング=クルーガー効果を助長することになるので、「専門家の側」が「意識的に」一般の人に対して適切に解凍した情報を渡さないといけない、という解決策を提示します。


 その際、医療と法律の分野で、専門家と一般人を分けたとしましょう。


 医療:

 専門家(医者など)・一般の人(医療の知識のない人)


 法律:

 専門家(弁護士など)・一般の人(法律の知識のない人)


 専門家は「高圧縮の言葉を使う群」、一般の人は「低圧縮の言葉を使う群」です。


 ここでは「医療の専門家⇄一般人」・「法律の専門家⇄一般人」という2軸が存在するので、構造としては少なくとも4つの区分(4次元的な構造)を考える必要があります。


 これを、「専門家も専門外の領分では一般人なんだ、みんな一緒」と1次元に次元削減するとしましょう。


 その場合、話のテーマが次元の削減と同時に消し飛んでしまいます。


 理解のために、「専門家と一般人の構造を維持しておいてほしい」のです。


 なぜならば、「医師」であり「弁護士」という両方「専門家」のパターンや、どちらも「一般の人」というパターンがあるからです。


 そもそも、「専門家」と「一般人」というのは、ラベリングをしているわけではなく、例えば、ぼくは言葉の圧縮率の話で言えば、高圧縮のものも低圧縮のものも話す相手によって使い分けるので(ときに億劫になって無解凍で出すこともあります)、その時々で、どこに入るかが変わりますし、そういうことも十分ありえるのです。


 この前提を維持しないと会話が成立しません。


 これが「多元を多元として受け入れる」ということです。


 二元論思考で強引に解釈しようとすれば、この話は解釈不能になって、認知的不協和が起きるはずです。


 もっとも、そのときに『次元削減』が起きてしまうと多元論思考にもっていくのは難しい。


 閾値を超えた人(認知的柔軟性が高い、または強い内的動機で学習する人)は、矛盾する情報を精緻化して統合しようとして多元論思考化へ進むのですが、逆に閾値を下回った人(防衛的合理化が強く働く人)は、納得するために次元削減に向かうのです。


 次元削減は認知的不協和の結果起こる防衛的合理化の一環と考えられ、アイデンティティと強く結びついていることもあるので対応が悩ましいところです。


 ――以下、おまけ――


 おまけ。圧縮率の差の例です。二元論思考からの抜け出しにくさに関する考察。


 超高圧縮(AIのプロンプト・特定文脈向け)


 二元論思考は認知平面上でアトラクターポイントになっている。


 高圧縮(専門家向け)


 二元論思考は、それ自体が依存性と負の再帰性を持つポテンシャル井戸として機能する。


 低圧縮(一般の人向け)


 人は、物事を『白か黒か』、『正しいか間違ってるか』みたいに単純に分けたがる癖がある。単純に分けることは、楽だから、毎回それを選びがちである。たとえば、SNSで『この人は良い人だ!悪い人だ!』とすぐ決めつけたりとか。一度その考え方にはまると、どんどんその枠に縛られて、いろんな可能性やグレーゾーンを見逃す。そこから抜け出すのは、困難で工夫と努力が必要だ。

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